MUSICAL FEATURES
XPO(Stereo Prasmatic Oscillator)は、フルアナログのステレオ・オシレーターです。サイン波、三角波、ノコギリ波の基本波形に加えてスパイク波とSUB出力、ステレオPWMとウェーブフォールディングを含むステレオの音色モジュレーション、周波数モジュレーション、独自のオシレーターシンクをアナログ領域で実現します。
XPOは、複雑な回路がステレオフィールド内で、幾つかのパワフルなパラメータによって多角的にコントロールされるという、QPASとの共通理念と高い親和性を持ちます。
- 5つのモノ出力と3つのステレオペア出力を備えるステレオのアナログVCO
- ステレオPWM、ステレオVari-Timbre、およびステレオWave Foldingを介して音色をモジュレーション
- サイン波、三角波、ノコギリ波、スパイク波、SUBモノ出力を装備
- チャンネル出力間の正規化により、すべてのステレオ波形のユニークなモノ・バージョンを利用可能
- 左右のチャンネルを同時に、または個別にモジュレーション
- Vari-Timbre出力とWave Folded出力の両サイドの音色コントロールを拡張するCenterパラメータ
- FMインデックスのコントロール入力を備えるリニアFMバス
- SUB出力からFM入力への内部結線
- 独自のSYNC回路
- シーケンスの移調やリッチなFMを可能にする2つの1V/Oct入力
- アテヌバーターを備えるExpo FM入力
- QPAS, Mimeophon, X-PANとの親和性を考慮した設計
HOW TO USE
Interface
The Waveform Outputs
Mono Outs
XPOの最上部には、オシレーター・コアから派生する、5つのモノラル波形出力が並びます。
サイン波は、DPOおよびSTOが実装する回路のものと同一の三角波からシェイピングされます。 ノコギリ波、スパイク波、およびサブ出力はXPOのための新しいものです。これらの出力は、従来のVCO出力のように個別にVCAやフィルター等を介して処理して使用する用途に便利です。 これらはOptomixやX-PANのようなミキサーを使用してミキシングしたり、ステレオ出力の任意の位置にパンニングできるほか、XPO自身のCenterやModulateパラメータを変調する音色モジュレーション・ソース としても有用です。また、すべての出力で常に同一の周波数を示す、XPOの出力上で動作するQPASのようなプロセッサへのオーディオレート・モジュレーションとしても使用できます。
- Sine: サイン波はオシレーターの三角波コアから派生し、出力のひとつとして提供されます。これは、より倍音の多い信号とブレンドすることで基本波を増強できるためです。サインの形状は倍音をほぼ含まないため、複雑なFMサウンドを作成する開始点にも適しています。これはFMの際に生じるサイドバンドが、利用する信号に存在する倍音によって不明瞭化されないためです。
- Triangle: 三角波はオシレーターのコア形状です。三角波はサイン波よりも倍音成分をわずかに多く含んでおり、基本波も強く、サイン波に比べてミックス内での抜けも良い特徴を持ちます。また、三角波は例えばフィルター・カットオフのオーディオレート変調のような、より多くの倍音の作成が求められる場合のモジュレーション・ソースとしても有用です。
- Sawtooth: 全倍音を含み、フィルターでのシェイピングに適したノコギリ波は、減算シンセシスでしばしば利用される古典的な力強い東海岸シンセシスの波形です。
- Spike: Spike波は、細く長いスパイク形状で、基本波が低いために厚みのない'buzzy'なサウンドとなります。あまり一般的ではないこの波形は、西海岸の代表的なシンセサイザー'Music Easel'で見ることができます。三角波のような倍音の少ない波形に対して、印象的な倍音を加算または減算できるほか、レゾナント・フィルターなどの'ringing'の潜在性を持つパラメータへのモジュレーションにも有用な形状です。
-
Sub: サブ・オシレーターは、古典的な極東海岸の波形であり、同じVCOからの他の波形とミックスされた時にサウンドに厚みを出すために使われてきました。
XPOのSub波形出力は、オシレーター・コアから低オクターブ(サブ・ハーモニクス)で派生した複数の矩形波がミックスされています。フィルターを用いた減算シンセシスに適当なこの出力は、ベースラインをはじめとする'ファット'なサウンドの作成だけでなく、モジュレーション・ソースとしても優れています。
QPASのフィルター・カットオフにパッチした場合、フィルターが唸りをあげるサブ・ハーモニクスの重畳を作成します。XPOでは、Sub波形の別バージョンがリニアFM入力にノーマライズされています。この入力にパッチがない場合、FM Depthはサブ・ハーモニックFMを生成する追加のVC音色パラメータとして使用することができます。
Stereo Outs
XPOの右側には、オシレーター・コアから派生するステレオ出力の3つのペアがあります。これらの出力は、QPASやMimeophonのようなステレオのプロセッシング・モジュールのための優れたオーディオ・ソースを提供します。
すべての出力ペアは、Modulate L/Rパラメータからの音色モジュレーションを受信し、Right出力にパッチがない場合はそれぞれLeft出力を介してモノラルで使用できます。
なお、Vari-TimbreとFolding出力は、Centerパラメータによる音色モジュレーションをLR両方の出力で受信します。
Pulse Width Modulation出力は、クラシカルなPWM回路を利用して矩形波の幅を連続的に変調します。 Modulateコントロールが最小値では0%(無音)、12時の位置付近で50%(矩形波)、最大値では約99%(極細のパルス)となります。 コントロール電圧を使用した場合、パルス幅は100%(再び無音)の値まで増加させることができます。
パルス幅変調は、偶数倍音と奇数倍音を交互に発生させることができます。 XPOは2つの出力に2つの独立したPWMパラメータを備えているため、ステレオでモニタリングし、 両サイドを同じ周期と変調量、またはそれぞれ異なる値で同時に変調することで、興味深い組み合わせを聴くことができます。
LeftとRight、各PWM出力はModulateコントロールによって個別に制御されます。 Right出力にパッチがない場合、Left出力からはLeft出力と、Right出力の反転コピーの和の信号が出力されます。 モノラル信号のためにLeft出力のみを使用する場合、一方、または両方の波形を変調することで興味深いフェイジング動作を得ることができます。
Vari-Timbreは、サイン波、三角波、およびノコギリ波から派生します。 左右両方のVari-Timbre信号をサインからノコギリへとクロスフェードするCenterパラメータは、 Buchla 158および258といったクラシカルな西海岸シンセサイザーの回路に見られる機能です。 これはローパス・フィルターに似た方法で使うこともでき、サウンドを滑らかで柔らかいものから、鋭くて明るいものへと変化させることができます。 結果となるSine/Sawの形状は、Modualte L/Rパラメータでさらに処理され、Centerパラメータ(Sine/Saw)が定義する波形へと三角波がカッティングされます。 最小値では0%、おおよそ12時の位置で50%、最大値では99%となり、コントロール電圧を使用した場合は三角波の存在を100%まで増加させることができます。
LeftおよびRightのVariable出力は、各Modulateコントロールによって個別に制御されます。Centerパラメータは、両方の出力で同一の動作となります。
Right出力にパッチがない場合、Left出力からはLeft出力と、Right出力の反転コピーの和の信号が出力されます。 モノラル信号のためにLeft出力のみを使用する場合、一方、または両方の波形を変調することで興味深いフェイジング動作を得ることができます。 モノラル時のCenterパラメータの効果は、生成される波形の中心での位相キャンセルが生じやすくなるため、より繊細なものになる傾向がありますが、 オーディオレートでの変調時には依然として強い倍音が得られる場合があります。
Wavefolding出力は、DPOのFinal出力、および0-CoastのMultiply回路に近い回路を利用しています。
最小値で変調した場合はウェーブフォールダーのゲインが十分に低くなり、機能上、出力は無音となります。 Modulate L/Rの値が増加することで波形が現れ、続いてその波形自身が折り畳まれます。 折り畳まれる回数は、各Modulate L/Rパラメータの操作範囲を通してゼロから5回まで増加します。 Centerパラメータは、ウェーブフォールダーを介して送信される波形の形状、および折り畳みポイントを変調します。 パラメータ値が最小の状態では最もシンプルな飽和状態のシヌソイド波が、最大値では軽く、パリッとした一連のスパイクが発生します。
左右のFolded出力は、Modulateコントロールによって個別に制御されます。Centerパラメータは両方の出力で同一の動作となります。
Right出力にパッチがない場合、Left出力には左右のウェーブフォールディング回路を組み合わせた信号が含まれます。 モノラル信号のためにLeft出力のみを使用する場合、一方、または両方の波形を変調することで興味深いフェイジング動作を得ることができます。
Control Inputs
Frequency Controls
2つの1V/Oct入力は、シーケンサーやキーボードなどを介したXPOのピッチ・コントロール/シーケンス作成に使用します。 これらは工場出荷時にオクターブ毎に1ボルトでトラッキングするよう校正されており、Reneのような1V/OctにクォンタイズされたCVソース、 または0-CTRLのようなクォンタイズされていないアナログの電圧ソースを利用したシーケンス作成に最適です。 2つの1V/Oct入力は大きいPitchノブ、およびFM入力と合算され、あらゆる場面でオシレーターの周波数を決定します。 2つ目の1V/Oct入力はトランスポーズ入力として、または追加の指数形FM入力として非常に有用です。
Exponential FM入力は、ヴィブラートやオーディオレートFM、ピッチエンヴェロープ、または同期掃引に使用でき、 適用量と極性コントロールとして機能するアテヌバーターを備えます。
Linear FM入力は、他のVCO経由やMATHSからの高速サイクリング・ファンクション、またはXPO自身からのセルフパッチによるオーディオレートFMに最適です。 この入力はSubオシレーター出力のバリエーションにノーマライズされているため、Subオシレーターを他の波形出力とミックスすることなく、重畳するサブ・ハーモニクスの作成を実現します。
FM DepthはリニアFMの適用量を設定するパラメータで、付随するCV入力を介して電圧でコントロールすることができます。 Dynamic FMは、電圧制御による動的なハーモニック・プロファイルの作成に有効で、非常に豊かな倍音からシンプルで倍音のないサウンドまで、様々なサウンドが得られます。 入力アッテネータは、パネル・コントロールとして機能するほか、パッチがある場合は着信CVをスケーリングするアッテネーターになる複合機能ノブです。 FM Depthの状態はFM Depth Activity Windowを介して赤色で示されます。 なお、Linear FM入力にパッチがない場合でもFM Depthコントロールはアクティヴな状態であり、XPOのSubオシレーターからのFM量をコントロールします。
XPOはユニークなSync回路を実装します。XPOは、Sync入力に着信する信号の周波数に合わせようと試みます。 これにより、実際にはXPOのすべてのピッチ/周波数コントロールは音色コントロールにもなります。 この同期回路は"medium sync"のように説明することができます。リセットが少ない"soft sync"や、常にリセットされる"hard sync"に比べ、 許容するオシレーター・リセットの幅が広いためで、同期ソースのピッチがスィープすることでリップル効果を作成します。 XPOの出力からは、ハード・シンクの'山々'や、リセットの欠落による'谷間'を聴くことができます。
Timbre Controls
PWM, Vari-Timbre, Wavefolding, これら3つのステレオ出力のペアはそれぞれ、Modulate L/Rコントロールによる影響をユニークな方法で受けます。 すべてのステレオ・ペアにおいて、Modulate LはLeft出力にのみ、Modulate RはRight出力にのみ作用します。 Left出力ジャックのみを使用する場合、モノラル信号を作成するために両方の出力がミックスされ、LeftとRight両方のModulateコントロールの影響を受けます。 それぞれのModulateコントロールはノブとアテヌバーターを備えており、Modulate L入力はModulate Rにノーマライズされています。 このため、Modulate Lへの単一のCVソースを使って両サイドを変調することが可能であり、モジュレーションの深さと極性はそれぞれのノブとアテヌバーターで別々に設定できます。
Centerパラメータは、パネル・コントロールとして、またはパッチがある場合は着信CVのアッテネータとして機能するコンボ・ノブです。 このパラメータは、Vari-TimbreとWavefoldingの各出力に様々な方法で作用します。
Vari-Timbre出力では、Modulateが最小値の場合、Centerは最小値のサイン波から最大値のノコギリ波へのクロスフェードを実行します。 結果として得られる形状は、より高いModulateの値でVari-Timbreパラメータを'feed'するために使用されます。 なお、左のVari-Timbre出力のみにパッチしてモノラルで使用する場合、2つの出力の相互作用により、低周波で変調されたモノラルのVari-TimbreでのCenterパラメータは繊細になる傾向にあります。 これは適用量が最大の時でもピッチベンドを作成しないため、オーディオレート変調のための優れたソースとなります。
Wavefoldingでは、CenterパラメータはModulateコントロールの値が上昇した際に左右のウェーブ・フォールダーに送られる波形の形状と角度を調整します。 結果として得られるサウンドは、Centerパラメータ値の様々な地点で明るくて軽いもの、または暗くて豊かなものになります。