Xaoc Devices Zagrzeb
Format: Eurorack
Width: 8HP
Depth: 31mm
Current: 70mA@+12V, 60mA@-12V
English Manual(pdf)
Format: Eurorack
Width: 8HP
Depth: 31mm
Current: 70mA@+12V, 60mA@-12V
English Manual(pdf)
Xaoc Devices Zagrzebは、5つの異なる周波数特性を持つ4ポールのステレオ・マルチモードSVVCFです。HP, BP, LPの3つのステレオ信号を同時に利用可能な本機は、高振幅の信号でオーバードライブさせない限り、滑らかでクリーンなサウンドを提供するようにデザインされています。その音質は日本の高名なシンセサイザーを彷彿とさせますが、Zagrzebの4ポールステレオバリアブル構造は既存デザインのクローンでもなく新規に開発されたものです。また、本機はサンプルやOdessaのようなステレオ・オシレーターのステレオ信号をフィルタリングするためにデザインされていますが、モノラル信号も簡単に扱うことができ、入力段の特殊なフェイズシフト・ネットワークによって擬似ステレオ・ペアを作り出す能力を備えます。
Zagrzebは状態可変のフィルターであり、複数の出力が可能です。一般的な2ポールのフィルターは、12dB/Octのローパス、+6/-6dBのバンドパス、+12dB/Octのハイパス応答を提供します。本機の4ポール構造では、-24dB/Octのローパスから+24dB/Octのハイパスまで5つの異なる特性を提供します。これらの組み合わせは、非対称の+6/-18dB、対称の+12/-12dB、非対称の+18/-6dBから成るバンドパスの異なるバリエーションで、広範囲のスペクトルをカバーすると同時にステレオで実現します。
下の図fig.2は、本機のHIGH PASS 24とLOW PASS 24出力における周波数特性の例を示したものです。高いレゾナンス設定でも低周波が減衰しない点と、ハイパスの応答が24dB/Octと特に急峻である事に注目してください。結果として、過激なフィルタリング効果が得られます。
下の図fig.3は、BP CONFIGスイッチの3つの設定(H18L6, H12L12, H6L18)を比較した、BAND PASS出力ペアの周波数応答を示したものです。スロープの違いにより、カットオフの中心周波数の上下の成分のフィルタリング強度が変わり、音色が大きく変化しています。H12L12の対称レスポンスは、クラシカルな2ポールのSVFの2倍の急峻さを持つ、2つの12dB/Octスロープを備えることに注目してください。
あらゆる共振回路において、レゾナンス値を上げることで共振周波数に近い信号に高いゲインが導入されます。フィルターでは、これによりフィルタリングされた信号の振幅の増加、および出力におけるディストーションが生じる場合があります。シンセサイザーのフィルターの設計者はこの問題に、レゾナンスを制御する可変フィードバックに反転入力をミックスする事でゲインの増加を補完するか、可変フィードバックに非線形のサチュレーションを導入するか、または高度なダイナミクス処理を適用するか、いずれかの方法で対処します。本機のフィードバックは固定されており、レゾナンスの制御はフィードバックの変化ではなく、伝達関数の各極をシフトする事で実行します。増加したゲインは補正せずに、かつ共振の範囲をトリミングすることで、クリッピング・ポイントまでの滑らかで自然なレスポンスを実現、クリッピング・ポイントへ到達は稀となります。これは本機が自己発振できないようにデザインされた理由の一つでもあります。
フロントパネル下部に配置された2つのCV入力は、オーディオレンジ全体に渡ってカットオフ周波数をコントロールします。可変型のFM 1入力は戻り止めツメ付きのアテヌバーターを備えます。このノブの範囲は最大±0.5V/Oct(±2oct/V)で、レスポンス固定型のFM 2入力の2倍の幅があります。これにより、極端なスイープを実現する一方で、ポテンショメータの減衰カーブによって中央位置付近での浅いモジュレーションも維持できます。固定型のFM 2入力は校正されていませんが、おおよそで正確な1V/Octトラッキングを提供します。
Zagrzebは、ステレオ信号の2つのチャンネルに対して同一特性のフィルタリングを実行できるだけでなく、カットオフ周波数に繊細な変化を加えることで、ステレオイメージのアニメーションを実現します。FM 2入力の1/10の感度に調整されているSPREAD CV入力は、正極または負極の着信CVで2つのステレオフィルターを逆方向へとわずかに揺らします。本機のLEFT/MONO入力にモノラル信号をパッチするだけで、擬似ステレオ効果を作成できます。入力段に実装された、特殊なマルチステージ・フェイズ・シフティング・ネットワークが、左右の出力間にわずかなディレイを導入することで、広大なイメージのステレオ出力信号を作成します。この効果をより良く確認するには、時間と共に変化する豊かなサウンドを使用します。
HI PASS 24出力からフィルタリングされた信号を取り出し、反転したものをLOW PASS 24出力からの信号とミックス(減算)します。これによりNOTCH応答の信号を簡単に作成できます。この効果をより良く確認するには、RESONANCEを最小値に設定します。
本機をモノラルで使用する場合、デチューンされた2つのバンドパス出力をミックスすることで、興味深いフォルマント・フィルターのレスポンスを獲得できます。SPREAD入力に5?10Vのオフセット電圧をパッチし、2つのBAND PASS出力をミックスします。RESONANCEは高く設定します。
本機の2つのチャンネルをスタックすることで、急峻な48dB/Octのローパス/ハイパス応答を獲得できます。ローパスを作成するには、左チャンネルにオーディオ信号をパッチし、LOW PASS 24の左出力の信号を右チャンネルに入力します。最終出力はLOW PASS 24の右出力を利用します。