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Control Voltage (CV)とは?

モジュラーシンセのキホンです。

Control Voltage (CV)

モジュラーシンセではさまざまなパラメータをノブやボタンだけでなく、電圧を使ってコントロールすることができます。例えばフィルターモジュールには、大体カットオフ周波数を電圧でコントロールするためのジャックがついており、そこに指したパッチケーブルの電圧が(例えば)1V(ボルト)から5Vに変化したらカットオフ周波数が大きくなるようになっています。

ここでは、そのコントロールするための電圧、Control Voltage (CV)について、スタンダードなシンセのパッチングを例に説明します。 

ちなみに、下でパッチングしたモジュラーのイメージがたくさん出てきますが、これは"modular grid"というサイトで作ったイメージです。modular gridでは、モジュールの巨大データベースを使ってモジュールをはめた自分のバーチャルラックを作り、オンラインで保存します。モジュラーの電流量まで自動で計算してくれるので、自分のセットアップのノートとして使ったり、自分のセットアップのノートに使ったり、下のようなパッチノートを作ったりすることができます。とてもおススメなので是非アカウントを取って遊んでみてください。

パッチ 1


オシレーター → VCA

さて、これは2つのモジュールをラックにはめて、パッチケーブルを2本さしたところです。左がオシレーターモジュール Make Noise STO、右がVCA(アンプ)モジュール Intellijel uVCA 2 です。パッチケーブルは真下にぷらん、と1本のびてますが、これがミキサーやスピーカーにつながっている、シンセの音の出口と思ってください。この2つを使って音を出しているビデオがこちらです。

オシレーターモジュール
このパッチングでは、オシレーターのSTOの左上のジャックから、uVCAの左側中段のジャックにパッチケーブルがささっています。そしてuVCAの左側一番下のジャックから音が出ています。オシレーターは、それ単体からの出力を聞くと、「プー」とずっと同じ音が出続けていて、音がとまることはありません。その出力されている持続音をとりだし、uVCAへと入力しています。

VCAモジュール
uVCAはアンプ(VCA)です。入力音声を増幅したり0まで絞り込むことができます。uVCAは2チャンネルのVCA、つまり独立したアンプが2個(CH A/CH B)内蔵されていて、上のパッチングではCH Aを使っています。uVCA上部の小さいつまみがCH AのVCAのボリュームつまみ(バイアスつまみ)です。

さて、このセットアップを放っておくと、オシレーターから出ているプーっという持続音がVCAを通って音量は変わるものの、そのままただ出続けるようなシステムになってしまいます。

そこで、ノブをいじりながらなにかメロディーが出せないか、と考えると、例えばオシレーターについているオシレーターのピッチ(音程)つまみをグリグリしたり、VCAのボリュームつまみをグリグリすることで音を出したり止めたりするくらいしかできなさそうです。そこでなにかシーケンサーやキーボードなどの、「コントロール電圧」を出すためのモジュールを使って、VCAのボリュームつまみやオシレーターのピッチつまみを動かすのと同じようなことを電気の流れでやれるようにパッチングをしてみましょう。

まずはオシレーターピッチは一定で気にせず、ボリューム変化をもっと音楽的につけられるようにしていきましょう。コントロール用のモジュールを1つ、ラックに追加します。

パッチ 2

Patch02

PPのタッチプレートでアンプのボリュームをコントロールするパッチ


はい、いきなり黒い謎のモジュールが出てきました。これはMake Noise のPressure Points (PP)というコントローラーモジュールです。 このコントローラーをパッチングによって、すこし鍵盤ぽく使えるようにします。まずここでは、PPの右上のジャックから出力される電圧を、先ほどのuVCAのCV inというジャックに入力しただけです。PPは何をしているのでしょうか。この3つのモジュールを使った動画を見てみます。



GATE SIGNAL
実はこのPressure Pointsというモジュールは、画像にあるように銅のワイヤーでできたタッチプレートが4枚あり、タッチプレートを押すと「ゲート信号」というタイプのコントロール電圧が右上のケーブルから出力されるようになっています。

「ゲート信号」はだいたいこんな感じの電圧信号(赤色)で、もちろんコントロール用電圧の1つです。細かく言うと"GATE/CV"というように分けて書いたりしますが、GATEもコントロールするための電圧(CV)の1つに過ぎません。
gate

ゲート信号

このように、ゲート信号とは瞬間的にある高い電圧にジャンプし、戻るときも一瞬で0に戻るような信号のことです。上のパッチングをすることで、タッチプレートを押している間だけケーブルから"ON"を表すような電圧を出すようになったので、例えば鍵盤の「オンとオフ」を表現する電圧信号として使えそうです(ゲート信号の基本的な使い方の1つです)。

CV in
ゲート信号はPPからuVCAの"CV A"というジャックに向かっています。この"CV A"がまさしく、これからモジュラーで頻繁に目にすることになる、パラメータを電圧でコントロールするためのジャックの例になります。

uVCAの"CV A"の場合は、CH AのアンプのボリュームをコントロールするためのCVジャックになります。またフィルターであれば大体そのカットオフ周波数を電圧コントロールするための"CV in"がついています。また、後で出てきますが、オシレーターのピッチも電圧でコントロールしてメロディーを作るので、オシレーターにはピッチを電圧コントロールする"CV in"がついています。ウェーブシェイパーにもそのシェーピング方法を変えるCV inがついていますし、ディレイならそのディレイタイムが電圧コントロールできたりします。

このように、モジュールにはそれらを電圧でコントロールできるよう何かしらの"CV in"がついていることが多く、それらをどうパッチングし、動かしていくがモジュラーのプレイの基本にもなっています。またどんなCV inをつけるかがモジュールの個性につながっていきます。

さて、今uVCAのCV inに入っている電圧信号は、「急に上がって、しばらくたつと急に下がる」ゲート信号です。このゲート信号をVCAのCVとして使うことで、まさに上の写真が示す通りにuVCAのボリュームが変化することになります。つまり、いきなりボリュームが上がってオシレーターの音が聴こえ出し、GATEがオフになった瞬間にプツッといきなり消えるように設定できたことになります。簡単な鍵盤として使えるようになったわけですね。

Attenuator
uVCAのCH Aの中で、白い大きい方のつまみについてはまだ説明していませんでした。このつまみは、Attenator(アッテネータ)と呼ばれるつまみで、"CV in"に入ってくる電圧の強さを調整するような働きをします。よくノンモジュラーでもLFOやエンベロープをかける強さ(アマウント)を調整するノブがあると思いますが、あれに相当します。今の場合だと、結果的にGATE電圧の「高さ」を調節するような感じになりますね。

"CV in"があるようなモジュールには、そのCVに対するアッテネータがついていることが多いですが、ついてない場合もあります。そういう場合は、AttenatorモジュールなどをCV inの前に入れることで同様の調整ができるようになります。 アッテネータは空気のような感じで、忘れがちですが絶対に必要になる機能です。

パッチ 3

Patch03

エンベロープモジュールを追加



さて、パッチ2ではゲート信号で表現される急激なボリューム変化しか表現できません。そこで、このゲート信号をもとにして音楽的なボリューム変化として使える電圧を生み出すようなモジュールをPP→uVCAの間に挟んでみました。その動画が下です。

Envelope Generator モジュール
PPとuVCAの間に挟んだのは、Make Noise Functionです。これはいわゆるエンベロープジェネレーター モジュールで、入ってきたゲート信号のタイミングに合わせて、"Rise"と"Fall"で指定できるエンベロープ電圧シグナルを生みだしてくれます。RiseとFallはそれぞれアタック、ディケイと同様の意味です。そしてゲート信号ではなく、Functionから出力される変換されたADエンベロープ電圧シグナルをVCAのCVとして使おうという狙いです。

下の写真には、エンベロープモジュールに入ってくるゲート信号(赤)と、出て行くエンベロープ(緑)を同時にうつしています。今はアタック0、サステイン100%、リリース少し長めのエンベロープ設定なので、最初はゲート信号をなぞるように急な立ち上がりをし、最後のゲートがオフになってからのリリースがFunctionを通すことでプツッとするのではなく、スッと余韻を残しながら消えるようになります。Functionのアウトプットとなるこの緑のシグナルをuVCAのCV inに入れています(動画ではFunctionのTrigインプットにゲートを入れていますが、写真のようにエンベロープを高いところでサステインさせるにはTrigインプットの左側のシグナルインプットの方にゲートを入力してください)。

env

ゲートシグナル(赤)とエンベロープシグナル(緑)

さて、これで音が出てから消えるまでのタイミングとボリュームコントロールはかなりスマートにやれるようになりました。上のパッチングをしたモジュラーでは最初は音が出ておらず、PPのタッチプレートを押すと勢いよく音が出て、タッチプレートを放すとスッと余韻を残しながら音がきえるようになりました。

パッチ 4

Patch04

ピッチ(音程)をPPでコントロールするパッチングを追加



次は音程のコントロールです。上でオシレーターモジュールにはそのピッチを電圧コントロールできる"CV in"がある、と書きましたが、通常これはオシレーターには"1V/Oct"と書いてあります。今回はモジュールは追加せず、PPからSTOへ向かうパッチケーブルを追加しました。動画がこちらです。

オシレーターのピッチをCVコントロール
PPのゲートを出力する以外の機能として、あるタッチプレートを押すと、その上にある3つのつまみで示される電圧シグナルを、それぞれのつまみの右側のジャックから出すことができます。

今はその3つのうち、1番上のつまみの電圧シグナルを取り出して(動画では1番下を使っています)、オシレーターの"1V/Oct" (1ボルトパーオクターブ)というインプットに突っ込んでいます。この"1V/Oct"インプットは、STOのピッチを電圧でコントロールするためのCV inジャックです。1V/Octは電圧が1ボルト上がると音程が1オクターブ上がる、ということです。

このようなパッチングを行うことにより、 PPの鍵盤を押すと
  • ゲート信号が出力され、Functionで変換された電圧シグナルによってuVCAのアンプボリュームをコントロール(パッチ3まででできていた)
  • 押したタッチプレート上のつまみに応じた電圧シグナルでSTOのピッチをコントロール(パッチ4でできるようになった)
という2つのコントロールを同時にやります。どのタッチプレートを押すかでピッチが決まり、押している長さで音が出ている長さが決まるような、「鍵盤に似た」パッチングができたことになります。PPは4つしか鍵盤がありませんが、好きな音程をアサインできますし、実は何個もチェーンすることも可能です。

しかし、このままだとピッチの電圧がちょうど12音階の音の高さになることはほとんどありません。オシレーターのピッチCVは1Vで1オクターブ上がるように設定されているだけで、入力されている電圧がちょうど12音階上の音かどうかなんて知らないのです。

そこで、PPからのピッチ指定電圧がちょうど12音階になるように「クォンタイザーモジュール」を挟みます。

パッチ 5

Patch05

ピッチが指定した音階になるよう、クォンタイザーを追加


クォンタイザーモジュール
一番右に取り付けたモジュールがクォンタイザーモジュール、Intellijel uScaleです。クォンタイザーモジュールは、入力されたピッチコントロール電圧を、ちょうど音階上のピッチ電圧になるように「寄せて」くれるようなモジュールです。

これで、PPから出力される電圧のうち、ピッチの指定に使われる電圧は、1度uScaleを通ることによって ちょうど12音階に対応する電圧になり、(ピッチつまみも調整する必要はありますが)オシレーターからは音階を感じる音だけが出るようになりました。これで、ピッチ用CVとゲートという2つのCVをPPから出し、12音階をエンベロープをかけてプレイすることができるようになりました。

CV ⇔ オーディオ

さて、ここまでは具体的なパッチングをしながら、音を電圧でコントロールすることを説明してきました。上の例では、ゲートとピッチの2つをCVを使ってコントロールし、そのコントロールのためにPressure Pointsというコントローラーモジュールを使いました。

またパッチ5を見ると、ケーブルを通る電圧には2種類あることが分かります。主に右側3つのモジュールを出入りしていたのがコントロールシグナルで、最終的にはそれらのコントロール電圧が、左側2つのモジュールを通り抜けるオーディオシグナルの動きを、オシレーターやVCAを介してあやつっていました。オーディオシグナルの方はつなぎ方はとてもシンプルで、コントロールシグナルをつなぐのがちょっと慣れが必要って感じですね。

コントロール系とオーディオ系でモジュールを分けると次のようになります。 それぞれの機能単体のモジュールもあるし、いくつかの機能を組み合わせたりできるモジュールもあります。例えば、エンベロープモジュールでよくあるのが、エンベロープを繰り返してLFOにもできるようなモジュールです。

さて、ここで上のように機能を分類してはみましたが、コントロールシグナルもオーディオシグナルもどちらも電圧を処理するという意味では同じ土俵にいます。そしてこれがモジュラーの面白いところの1つなのですが、同じ電圧である以上、オーディオシグナルをコントロールシグナルとして使うことも可能です。

たとえば、オシレーターモジュールの出力はオーディオシグナルですが、それを例えばフィルターのカットオフ周波数や、他のオシレーターのピッチをコントロールするために使うこともでき、複雑で金属的だったり汚れた感じの倍音構成の音を生みだすことができます(FM)。 また、オシレーターのピッチ自体をどんどん下げていくと、周波数が可聴領域より低くなり、普通のLFOとして使えるようになるオシレーターモジュールもたくさんあります。

さらに、ミキサーやVCAについてはモジュラーの世界ではオーディオの処理と同じくらいCVの処理にも使われています。つまり、ミキサーモジュールは複数のCVをミックス(つまり電圧の足し算です)できることが多いですし、VCAにCV処理をさせることで、CVをCVでコントロールできるようになります。この辺りの機能をバシバシ使えるとかなり面白い音の動きが作れるようになりますし、モジュラーのメリットの1つはこの部分をフィジカル、直感的にやれることにあります。

何でもあり

この後シンセをもう少しパワーアップしていくとすると普通ならVCAとオシレーターの間にフィルターモジュールを入れたりするのが次のステップになるかと思います。ですが、ユーロラックモジュラーの世界は文字通り何でもありです。他にも様々なモジュールの選択肢があります。

WEST COAST SYNTHESIS

モジュラーシンセの世界には、フィルターだけではなくウェイブシェイパーやローパスゲートといった、ノンモジュラーシンセではなかなかお目にかかれない音色シェイプ機能を持った素晴らしいモジュールがたくさんあります。

ウェイブシェイパーやローパスゲートといったモジュールを使って音色を作りこんでいく手法は、Buchlaというシンセで1960年代から採用されているシンセサイズ法です。Buchlaがサンフランシスコで作られたことから、歴史的なカテゴリーとして「ウエストコーストシンセ」などと呼ばれたりもします。フィルターを使ったシンセサイズ(「イーストコーストスタイル」)が、カットオフとレゾナンスでのシンプルなコントロールを基調とするなら、ウエストコーストスタイルはもっとたくさんのパラメータを通して音色をコントロールします。そのためキーボードとは違った、先ほどのPressure Pointsのように1本の指でたくさんの音をコントロールできるモジュールと相性が良く、非常に複雑な音色合成も行えます。



DIGITAL MODULES

今までは基本に帰って、主にアナログな手法でのシンセの話をしていました。しかしユーロラックモジュラーの世界は何もアナログだけではありません。デジタルモジュールにも使いやすくてアナログでは到底出来ないことをやってのけるものがたくさんあります。

デジタルオシレーターはユーロラックの世界ではかなり充実しており、検討の価値ありです。波形データをあらかじめ持っていて、それをスィープしながら音色を作るウェーブテーブルオシレーター、コードが出せてしまうオシレーター、ビットクラッシュできるオシレーターなど、もはやオシレーターの枠を超えたボイスモジュールもたくさんあります。またサンプラーモジュールなどもあります。

こういった、まさにないものはない、というような感じで様々なモジュールを世界中の開発者・技術者が個人のラボでデザインし、販売されていくのがユーロラックモジュールの世界です。どのメーカーにも独自の個性があり、それらをごちゃ混ぜにして使うことが出来るわけです。もちろん、世界観のあるブランドで統一して楽しむのも良いと思います。
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