Plaitsは多数のモデル(アルゴリズム)を使用できるデジタルオシレーター・シンセサイザーボイスモジュールです。Mutableの旧作オシレーターBraidsのデザインは継承せず、ハードウェア・ソフトウェア共に0からデザインしなおされています。数多くのアルゴリズムにより様々なシンセシステクニックを網羅している点はBraidsと同じですが、スクリーンやメニューシステム、隠し設定等がなくなりました。また選択可能なモデルの数は減りましたが、アルゴリズムモデル内のパラメータの自由度が増えたため、1つのモデルで1つのシンセシス技術を十分カバーできるようになりました。Braidsではモデル間で散らばっていた似た様な音たちは、Plaitsではモデルを変えることなくパラメータの連続的な変化で移り変わることができます。
またPlaitsにはデジタルローパスゲートが組み込まれているため、VCAやエンベロープモジュールを用意することなくトリガーを入力するだけでパーカッシブなシンセサイザーボイスとしても使用できます。
オーディオクオリティやエイリアス処理、CV処理の解像度等においても進化し、より豊かでクリーンなサウンドを生み出します。
ピッチ感を持ったアルゴリズムは次の8つです。
- 連続的似変化するスタンダードな波形ペア
- スロープが可変な三角波をウェーブシェイパーやウェーブフォルダーを通した波形
- 連続可変なフィードバック経路を持った2オペレーターFM
- 2つの独立してコントロールできるフォルマント
- 24の倍音成分をコントロールできるハーモニックオシレーター
- 8x8のテーブルバンクを4つ持ったウェーブテーブルオシレーター(連続・不連続変化両方可能)
- コードジェネレーター(音色以外に転回等もコントロール可能)
- 人のしゃべり声のアルゴリズムコレクション
パーカッションに使いやすいノイズや不協和音のアルゴリズムは次の8つです
- グラニュラー処理されるノコギリ波/サイン波。グレイン濃度やサイズ、周波数のランダマイズなどがコントロール可能です。
- レゾナントフィルターに通されたクロックノイズ
- レゾネーターに通された粒子ノイズ
- 拡張されたKarplus-Strongモデル(Ringsの赤色モードにノイズバーストが入力されるようなモデル)
- モーダルレゾネーター(Ringsの緑色モードにマレットまたはノイズバーストが入力されるようなモデル)
- アナログキックエミュレーション(2種類のフレーバー)
- アナログスネアエミュレーション(2種類のフレーバー)
- アナログハイハットエミュレーション(2種類のフレーバー)
2022ベータ版ファームウェアではオレンジバンクとして8つのアルゴリズムが追加されました。ベータ版ファームウェアで新しいバンクにアクセスするにはまず2つのボタンを一瞬だけ同時押しすることでバンクの選択方法を「左ボタン:次のモデル, 右ボタン:前のモデル」と変更したうえで、モデルを切り替えていくとオレンジバンクが出現します。
- (1) 4ポール/2ポール切り替え可能なフィルターつきレギュラー波形
- (2) フェイズディストーションモデル
- (3) (4) (5) 2ボイス 6オペレーターの DX-7 スタイルFMボイス。3~5のモデルはそれぞれ32のプリセットを格納したバンク一つずつに対応し、バンク内のプリセットはHARMOで選択可能です。デュオフォニックでトリガーできLevelはベロシティコントロールになります。Timberがモジュレーターのレベル、Morphがエンベロープなどの時定数をコントロールします。DX-7フォーマットのSysEXファイルをロード可能です(ロード方法含むエディタの使用はサポート対象外ですので、上記フォーラムから取得ください)
- (6) Wave Terrainシンセシス。独自波形をエディタ経由でロード可能です。
- (7) ステレオフィルターとコーラスを搭載したストリングマシーン
- (8) 4つの可変スクエア波。コードやアルペジオ可能。
使用法
2つのボタンによりモデルを選択します。左のボタンでは音程のあるモデルを、右のボタンではノイズ・不協和系のモデルを選択します。MainとAuxの2種類の出力を持ちます。
メインの周波数コントロールノブは8オクターブをカバーします(設定により約1オクターブのレンジにも設定可能)。各モデルはHarmonics, Timbre, Morphの3種類の音色パラメータを持ちます。Timber, Morph, FMのCVコントロールにはアッテヌバータがつきます。またモデル選択もCVコントロール可能です。メインの1V/Octは-3Vから+7Vまで入力可能です。
トリガー入力にパッチすると、オシレーターを内蔵のデジタルローパスゲート(LPG)に通し、トリガー信号でゲート開くようになります。ドラムのトリガーにも使用されます。Levelコントロールは、オシレーターの音量やLPGを通ったサウンドの大小をさらにコントロール可能なCV入力です。
ボタンを押しながらノブを回すことでいくつかのパラメータが調整可能です。LPGの特性(VCFAタイプからVCAタイプへのモーフィング)は左のボタンを押しながらTimbreノブを回して調整します。LPGのディケイは同じボタンを押しながらMorphノブを回して調整します。LPGタイプのVCAなのでディケイを短くしても独特の余韻が残ります。LPGのエンベロープは各種パラメータのCV入力に内部結線されています。それらのモジュレーションを無効にしたい場合はアッテヌバータを真ん中の位置にしてください。
右のボタンを押しながらHarmonicsノブを回すことで、Frequencyノブのレンジやオクターブの切り替えができます。8つのLEDが1つ点灯する設定では、点灯するLEDによって中心がC0~C7まで切り替わり、Frequencyノブはその周囲±7半音のみを動きます。LEDが全部点灯している時は初期設定の通りFrequencyノブで8オクターブをスウィープします。