MUSICAL FEATURES
Ensemble Oscillator (EO)は、16のサイン波オシレーターに加算合成/FM/フェイズディストーション/ウェーブフォールド等のウェーブシェーピングを斬新な方法で組み合わせ、倍音と和音を区別せずに音色を構成するユニークで統合的なアプローチのポリフォニック・ボイスモジュールです。
EOでは内部で設定した周波数のグリッドとなる"スケール"に、各サイン波オシレーターの周波数をユニークな方法でアサインします。ここでの"スケール"は音階としてのスケールも含みますが、設定の自由度はそれよりも非常に広く、倍音構成のようなスケール、コードクラスターのように周波数が密集したスケール、高域に非整数倍音が並ぶようなスケールなどもユーザーが指定できます。この特徴により、加算合成による音色作りとも和音作りとも言えるような、ハーモニーにおけるグレーゾーンのシンセシスを得意とします。その他の特徴は以下の通りです。
- 選択したScaleの音程に結びつく最大16個のサイン波ベースのオシレーター
- 3つのグループに選り分けられた30のスケールはユーザーによる上書きが可能
- 12TET: 全ての音符を平均律にクォンタイズ
- Octave: 音符はクォンタイズされず、オクターブで繰り返す
- Free: 音符はクォンタイズされず、最低音と最高音の間の間隔で繰り返す
- マニュアルまたはCV/GATEキーボードによるシンプルな手法によるカスタム・スケールのプログラミング(Learn)
- 3つのTwist Phase Distortionエフェクト
- 3つのWarp Wave Distortionエフェクト
- 3つのアルゴリズムから成るCross FMによるオシレーター同士のモジュレート
- 選択可能なパンニング・アルゴリズム搭載のモノラル/ステレオ出力
- 選択可能なアルゴリズム搭載のFreeze機能による一部のオシレーター周波数の凍結
- 2つの1v/oct入力:Pitch(クォンタイズ後)とRoot(クォンタイズ前)
- 高精度、温度安定性能、8オクターブレンジ(-2V〜+6V)あらゆるキーボードに校正可能
- 6つのバイポーラーCV入力(-5V〜+5V)
- LearningとFreezingを自動化する2つのゲート入力
ピュアなサイン波の複合体から出発しパルサー・シンセシスへと、あるいは原始的な倍音と広大な和音からダーティーなドローンとガタガタのグリッチへと、非常に多様性に富んだサウンドを生み出します。
How to Use
Frequency Control
Ensemble Oscillator(EO)は16のオシレーターを擁し、各オシレーターのピッチは選択中のスケールにクォンタイズされます。PitchとDetuneはクォンタイズ後の周波数を調整し、RootとSpreadはクォンタイズ前の周波数を調整します。Rootで設定した周波数が現在のスケール内の2つの周波数の間にある場合は両方の音が聴こえます。それぞれの周波数のボリュームは、クォンタイズ前のオシレーター周波数にどれくらい近いかに依存します。すなわちEOは、ひとつの音から次の音へとジャンプするのではなく、音と音の間をクロスフェードするのです。量子化と音の融合処理が終わると、PitchとDetuneによってクォンタイザー後の周波数コントロールが行われます。
Scales
各オシレーターの周波数を現在選択中のスケールが決定します。スケールは、通常一連の音符と考えることが出来ますが、EOでは、半音階や全音階のような西洋音楽のスケールに従う必要性はなく、音符の間隔に制約はありません。さらに、各スケールの範囲も伝統的なスケールのようにオクターブ等である必要性はなく、自由に設定可能ですLearnモードの説明を参照)。そのため、EOを使用しているとしばしば、スケールを一連の音符ではなく、一連の倍音と考えると便利かもしれません。
和音と倍音の違いは純粋に知覚できます:多数の音符が同時に鳴っている時、私たちは和音と認識します。しかし多数の倍音が同時に鳴らされると、それをリッチな波形と捉えるのです。
RootとSpreadによって各オシレーターはグリッドの周りを動き、Pitchはグリッド全体を、Detuneはグリッドのラインを捻じ曲げます。
EOは、3つのグループに10ずつ配置された計30のスケールを格納できます。Scaleスイッチでグループを選択し、ノブとジャックを使いグループ内のスケールを選択します。
各グループは、スケールがどのように可聴範囲内を繰り返すか、12音階に関連した周波数にするかどうか等について異なる性質を持ちます。
Freeze
通常、全オシレーターはすべてのコントロールに反応しますが、一部のオシレーターのみ周波数をフリーズすることも可能です。フリーズ中のオシレーターは、Pitch, Root, Spread, Scale, Detune それぞれのノブ操作またはCVコントロールには応答しません。 Twist, Warp, Cross FM, Balance ノブまたはCVコントロール経由の波形変形とミキシング/パンニングの変更には応答します。 実行するにはFreezeボタンを押すか、トリガー信号をジャックに入力します。ボタンが青色に変わり、いくつかのオシレーターの周波数がフリーズします。もう一度ボタンを押すか、新しいトリガー信号を送るとフリーズは解除されます。
Learn Mode
工場出荷時にプログラム済みのスケールはすべて、ユーザーによるカスタム・スケールを上書き保存できます。
カスタム・スケールのプログラミング工程をLearningと言い、Learnには2つの方法があります。
- ノブを使用した、一連のピッチへのダイアルイン
- CV/GATEキーボード等の外部デバイスの使用
いくつかのノブの下の単語は黒い楕円の中に書かれています(Add Note, Fine Tune, Delete Note)。これらはLearn Modeでの用途を示しています。
Waveshaping Sections
各オシレーターの波形についても、デフォルトではサイン波ですが、3つのパラメータにより波形を倍音豊かで複雑な音色やノイズにモデファイします。各パラメータの効果を簡単に確認するには、他の音色パラメータ及びBalanceを最小値にし、一つのオシレーターだけを聴きながらパラメータ操作をしてみてください。
Twistは各オシレーター波形の位相内の時間の進み方を変調し、ピュアな正弦波を歪ませます(位相成形)。位相の歪ませ方はRamp, Pulse, Crushの3種類からスイッチで選択します。
Warpは波形に多種のウェーブフォールディングを適用します。フォールディングのやり方は、Fold,Cheb,Segmentの3種類からスイッチで選択します。
Cross FMはオシレーター間で周波数変調を適用します。FMのアルゴリズムは、Up,All,Downの3種類からスイッチで選択します。各オシレーターは周波数上、互いに関連しているため(選択中のスケールにクォンタイズされている)、この機能で作成されるFMサウンドはしばしば興味深い音響をもたらします。
Shift Functions
EOにはいくつかの高度な機能があり、これらの頻繁な調整は不要ですが、モジュールの挙動に関して重要で繊細な変更を加えます。
Freezeボタンやいくつかのノブの下に、ゴールドにハイライトされた代替名がラベルされています。これらの機能を使うには、ノブを回している間Shiftボタンを押したままにします。
Shift機能への変更点は保存され、電源を落としても残存します。以下はこれらの機能の簡単な説明です。
- #Oscillators: アクティブなオシレーターの数を設定します(1-16)。
- Stereo Mode: 各オシレーターのパンニング方法を変更します。
- Freeze Mode: オシレーターのどのサブセット(小派)がフリーズされるかを変更します。
- Crossfading: クロスフェード・カーブの勾配形状をコントロールします。
Interface
マウスオーバーで各部の説明が表示されます。"Shift"を選択するとShiftボタンを押しながらの操作の説明になります。
Firmware & Calibration
オーディオ・ブートローダーによるファームウェアアップデート
Ensemble Oscillatorは、ファームウェアアップデート用のオーディオファイルをLearnジャックから入力することでユーザー自身で更新できます。
- モジュールの電源を落とし、ケーブルをすべて抜きます。
- コンピューターまたはスマートフォンの音声出力をLearnジャックに接続します。
- 再生機器(アプリ等のボリューム設定含む)側の出力を最大にします。
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LearnとFreezeの両ボタンを押し下げたまま、モジュールの電源をオンにします。
- Learnボタンが緑色の点滅になったのを確認し、ボタンを放します。
- オーディオファイルの再生を開始します。ボタンによる青色と白色にアニメーションをすぐに確認できるはずです。
- ファイルの再生中にボタンが赤色に変わる場合は、エラーが考えられます。
a. 再生を中止し、ファイルの先頭に戻してください。
b. ケーブルが正しく挿入されているか確認します。
c. Learnボタンをタップします。緑色の点滅に戻ります。
d. もう一度オーディオファイルを先頭から再生します。
- ファイルのロードが成功しアップデートが完了すると、ボタンが虹色にアニメーションします。
1V/oct ジャックのカリブレーション
外部デバイスを使用する際のチューニングのズレは、仮にすべてのデバイスが通常1V/octであったとしても、様々な要因によって引き起こされます。また、各ジャックは1.2V/oct仕様の外部デバイス用にも校正できます。手順はとても簡単です。
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Out AとOut B以外のケーブルをすべて抜きます。
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LearnとFreezeボタンを約2秒間、押し下げたままにします。色が変わったらボタンを放します。
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Learnがゆっくりと青色に点滅します。C2をPitchジャックに入力し、Learnボタンを押します。
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Learnが素早く青色に点滅します。C4をPitchジャックに入力し、Learnボタンを押します。
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Freezeがゆっくりと青色に点滅します。C2をRootジャックに入力し、Freezeボタンを押します。
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Freezeが素早く青色に点滅します。C4をRootジャックに入力し、Freezeボタンを押します。
- 校正が完了すると、点滅が緑色に変わり、モジュールは通常の作動状態にもどります。
※C2とC4はそれぞれ2.0Vと4.0Vである必要があります。ご利用のコントローラーによっては、これらの音階に対する出力電圧が異なる場合があります。キャリブレーションの手順が途中で中断されるなど、上手くいかない場合はC0とC2やC1とC3などの2オクターブ離れたC音階のペアでお試しください。
エラーが生じた場合はLEDが赤色に点滅し、キャリブレーションのデータの保存なしに手順が中止されます。エラーが起こり得る原因の一つとして、ジャックが読み込む値が許容範囲外の電圧であることです。許容される範囲は0.7V/Octと1.3V/Octの間です。これはC2が1.4Vと2.6Vの間であり、C4が2.8Vと5.2Vの間である必要があることを意味します。
また、キャリブレーション・モードに切り替える際にRootまたはPitchにケーブルがパッチされていたり、校正手順中に他のCVジャックにパッチがある場合にもエラーとなります。