MUSICAL FEATURES
Spherical Wavetable Navigator(SWN)は、ゆっくりとモーフィングするドローンからポリフォニックなメロディやコード、リッチなテクスチャーサウンドを簡単に作り出すことのできる、6チャンネルのポリフォニックシンセサイザーボイスです。SWNには 6つのVCO が搭載され、個別にピッチや音量、波形をコントロールできます。加えて別に 6つのLFO が搭載され、モジュレーションやエンベロープとして使用できる為、これ一台で ポリフォニックなシーケンスサウンド を生み出すことまで可能です。各チャンネルは単純なVCOとしてだけでなくシンセボイスとしても使用でき、トップに並んだ6つのボタンや内部のLFO、そして1V/Octのピッチ変化を検知したトリガーも可能です。 全てのノブがプッシュ可能なエンドレスノブとなっており、押しながら回すことで金色バックのキャプションで書かれた2次機能をコントロールします。またチャンネルボタンを押しながらノブを回すとチャンネルごとにパラメータを設定することが可能です。このような統一されたインターフェースとLEDによりピッチや波形情報を表示することで、メニューなしに多くのパラメータを素早く簡単にコントロールできます。 SWNは ウェーブテーブル からオシレータ―波形を呼び出します。VCOごとに異なる波形をアサインすることもできます。ウェーブテーブルはバーチャルな球体の形をしており、中心からの距離(Depth)、緯度(Latitude)、経度(Longitude)を指定することで球体内の位置を指定し、そこにメモリーされている波形が呼び出されます。波形間は滑らかにモーフィングし、またノブを回し続けると元の波形に戻って同じようにモーフィングします。SWNは出荷時に12のウェーブテーブルが搭載されますが、 独自のウェーブテーブル を作成するのも簡単です。ウェーブテーブルはSWNに録音したオーディオから本体上の操作だけで作ることもできますし、Mac,Linux,Windows上で動作するフリーのSphereEditソフトウェアを使用して作ることも可能です 出力は奇数チャンネルが左、偶数チャンネルが右に出力されます。モノ出力の場合は右側の出力のみにパッチすれば全チャンネルがミックスされます。
※2019年7月よりファームウェアがv2.1となり、以下のような追加機能があります。詳細については"How To Use"を参照してください。
ボイスごとにゲートでトリガーすることのできるCV/Gateモードの追加
チャンネルごとにパラメータをロックする機能の追加
波形一つ一つのレコーディング機能の追加
スフィアのエクスポート機能の追加
Spread CVでのコードの切り替えは、区切りの電圧が黒鍵のピッチCVに相当するように修正
Demos
VIDEO VIDEO
HOW TO USE
ボタンやノブのコンボ操作について
SWNではボタンやノブの組み合わせによる操作が多くありますが次のようなルールに従っています。
パラメータのノブを単独で回したり押し回しすると、6つ全てのオシレーターまたはLFOでのそのパラメータ―が変化します。特定のチャンネルのVCOやLFOのパラメータを設定する場合、対応するミュートボタンを押しながらパラメータのノブを操作します。複数チャンネルの場合は複数個ミュートボタンを押しながら操作します
パラメータのノブを回してもボイスやLFOが影響を受けないよう、チャンネルごとにロックをすることが可能です(ファームウェアv2以降 )。ロックをするには、Fineを押しながらロックしたいチャンネルのミュートボタンを押します。ロックするとそのチャンネルのほとんど全てのVCO/LFOパラメータが固定され、ノブの動きを反映しなくなります。1V/Octジャック、スライダー、ミュートボタンだけはロックされてもされなくても同様の働きをします。ロックされたチャンネルでも、ミュートボタンを押しながらの個別パラメータ調整は可能です
金背景の文字のパラメータをコントロールするには、ノブを押しながら回します
あるパラメータを微量だけコントロールするには、Fineを押しながらパラメータノブを回します。チャンネルごとの操作でも有効です
VCOやLFOのパラメータをリセットするにはPresetボタンを押しながら対応するボタンを押します
コンボ操作の詳細については、以下の各部の説明、及び
マニュアル 最終ページのボタンコンボチャートも参照してください。
ピッチコントロール
下記全てのピッチ関連パラメータはチャンネル共通、またはチャンネルごとに独立して設定可能です。チャンネルごとに設定する場合はそのチャンネルに対応したボタンを押しながら(複数可)該当パラメータのノブを回し(または押しながら回し)ます。
オクターブ(Octave): チャンネルのピッチをオクターブ単位で上げ下げします
トランスポーズ(Transpose): チャンネルのピッチを半音単位で上げ下げします
ファイントランスポーズ(Fine+Transpose): チャンネルのピッチを微小な単位で上げ下げします
スケール(Scale): 音階のクォンタイズされるスケールを次から選択します:メージャー、マイナー、クロマチック、クォンタイズなし
スプレッド(Spread): チャンネル間の相対ピッチを離すことで次のようなコードを作ります。 1: No transposition 2-4: Fifths 5-7: Major thirds 8-10: Minor thirds 11-13: Major sixths 14-16: Major sevenths 17: Major ninth chord 18: Major eleventh chord 19-21: Minor sixths 22-24: Minor sevenths 25: Minor ninth chord 26: Minor eleventh chord
ファインスプレッド(Fine+Spread): チャンネル間の相対ピッチを微小な単位で上げ下げします(ユニゾン等に役立ちます)
1V/octジャック: 各チャンネルの音階コントロール用1V/Oct入力
トランスポーズジャック(Transpose): グローバルな1V/Oct入力
スプレッドCVジャック: コード選択の為のグローバルなスプレッドCVコントロール
またLEDの外周リングは、Octaveノブを押すと各VCOのオクターブ状態を、Transposeノブを押すと各VCOのTransposeとSpreadを反映したピッチ状態を表示します。
Presetを押しながらOctaveを押すとオクターブのリセット、Presetを押しながらTransposeを押すとTranspose及びSpreadのリセット、PresetとFineを押しながらTransposeを押すとファインチューニングのリセットになります。
LFO/envelopeコントロール
全てのLFO関連パラメータはチャンネル共通、またはチャンネルごとに独立して設定可能です。チャンネルごとに設定する場合はそのチャンネルに対応したボタンを押しながら(複数可)該当パラメータのノブを回し(または押しながら回し)ます。
LFO出力ジャック: 各チャンネルには専用のLFO/エンベロープ出力ジャックがあります。同チャンネルのVCOの音量をコントロールする場合にはパッチせずLFO->VCAボタンを押すことでも可能です。
LFOスピード(LFO Speed): 各LFOのテンポコントロール。メインのクロックの等倍・等分の一(Div/Mult)に同期可能です。同期させたくない場合はLFOスピードのファインコントロールを使います。LFOオーディオレンジでも動作し、スピードコントロールが半音単位での調節となります。
LFO波形(LFO Shape): 25のLFO波形から選択します
LFOゲイン(Gain): LFOの大きさをコントロールします。セルフパッチ時のアッテネータとしても有用です
LFO位相(Phase): LFOの位相(波形のスタートするタイミング)を調整します
LFOタイプボタン: トリガー、ゲート、ウェーブシェープ(LFO Shapeで選んだ波形)から選択します
LFO CVジャック: LFOスピードのコントロール
外部クロックジャック: LFO同期の為のマスタークロックジャック
Presetを押しながらLFO Speedを押すと速さが、Presetを押しながらLFO Shapeを押すと波形がリセットできます。Presetを押しながらLFO Speed/Shapeの両方を長押しするとLFOがフルリセットします。またLFO SpeedとLFO Shapeを同時に押すと6LFOの位相が揃っているパターンと60度ずつずれているパターンを切り替えることができます。
音量コントロール
各VCOの音量はスライダーやミュートボタンでコントロール可能です。スライダー状態はプリセットに記憶されませんが、ミュートボタン状態はプリセットに記憶されます。
LFO→VCAボタン により、複雑なポリフォニックシーケンスを作り保存しておくことも可能です。ミュートボタンを押しながら操作することにより、キーボードモードやLFO→VCAモードの有無も
チャンネルごとに 設定可能です。
スライダー: 各チャンネルのレベルはスライダーでコントロールできます
ミュートボタン: 各チャンネルのボタンでミュートが可能です
キーボタン: キーボードモード、ノートモードではミュートボタンは対応チャンネルのエンベロープをトリガーし、音を出すのに使われます
VCA入力ジャック: 1V/octジャックで各チャンネルのレベルをコントロールするよう、ジャックの役割をスイッチにより切り替え可能です
LFO->VCAボタン: 押すと、LFOを各VCOのレベルコントロール用に内部的にパッチされます。個別チャンネルごとにも設定可能です。
またLFO→VCAボタンとLFOシェイプボタンを同時に押すと、ミュートボタンプッシュの働きが変わり、ノートモード、キーボードモード、CV/Gateモード(ファームウェアv2以降)と切り替わり元のミュートモードに戻ります。
ノートモード: ノートモードではLFOによるVCAのモジュレーションは効かなくなり、1V/Octシグナル、Transpose、またはSpreadによりピッチが変化したVCOのみ自動で音がトリガーされます。また対応するミュートボタンを押すことでも各VCOの音をトリガーすることができます
キーボードモード: ミュートボタンで各VCOをトリガーするのはノートモードと同じですが、ボタンを押してもサステインせずADエンベロープとなること、ピッチ変化した場合に自動でエンベロープがトリガーされない点が異なります
CV/Gateモード(ファームウェアv2以降): このモードでは、各VCOを外部から独立にトリガーすることができます。エンベロープは対応チャンネルのLFOが反映されます。各ボイスのゲート入力には、以下のようにWaveform In, Dispertion CV等のジャックが役割を変えて使われます。またSpread CVジャックが全ボイスのゲート入力となります。 ※1V/Octジャックにケーブルのささっていないボイスのゲート入力は無効となり、本来の入力として動作します。例えばCのオシレーターの1V/Octにパッチされていない時、DepthをCVでコントロール可能です。
ウェーブテーブルコントロール
全てのウェーブテーブル関連パラメータはチャンネル共通、またはチャンネルごとに独立して設定可能です。チャンネルごとに設定する場合はそのチャンネルに対応したボタンを押しながら(複数選択可)該当パラメータのノブを回し(または押しながら回し)ます。
ブラウズ(Browse): ウェーブテーブル球体内をジグザグにスキャンし、テーブル内波形を網羅しながらモーフィングします
デプス(Depth): Depth座標を動かしてウェーブテーブル内をモーフします
緯度(Latitude): 緯度を動かしてウェーブテーブル内をモーフします
経度(Longitude): 経度を動かしてウェーブテーブル内をモーフします
スフィア(Sphere): 12のファクトリーウェーブテーブル、または108のユーザーウェーブテーブルからウェーブテーブルを選択します
分散(Dispersion): 各チャンネルが呼び出す波形の、ウェーブテーブル内での分散をコントロールします
分散パターン(Dispersion Pattern): 分散のパターンを選択します
ウェーブテーブルスプレッド(WT Spread): 各チャンネルを異なるウェーブテーブルにアサインします
またPresetを押しながらDepthとLatitudeを押すことでウェーブテーブルをリセットします。
プリセット
レベルスライダーと1Voct/VCAスイッチの状態以外の設定は全て保存し、後で呼び出すことができます。
プリセットの保存(Save Preset): 現在のSWNの状態を保存します。Presetを回して目的のスロットを選択し、Presetを長押しして赤くなってから再度Presetを押して保存を確定してください。
プリセットの呼び出し(Load Preset): 保存してあるプリセットを呼び出します。Presetを回して目的のスロットを選択し、Presetを押して緑になってから再度Presetを押し、呼び出しを確定させてください
プリセットのクリア(Clear Preset): セーブしたプリセットをクリアします。Presetを回して目的のスロットを選択し、Presetを長押しし続けてLEDが素早く色を変えだしたら再度Presetを押してクリアを確定してください。
プリセットのアンドゥ(Undo Preset): クリアや保存などのプリセット操作は、1回分のみアンドゥすることができます。Fineを押しながらPresetを押してください
スフィアレコーディング
SWNで使われる球体状のウェーブテーブル作成用に音をレコーディングする特別なモードがあり、そこでは各コントロールが別の役割を果たします。Depth,Latitude,Longitudeの3つのノブを同時に押してください。LFO→VCAボタンは赤に、トリガー、ゲート、ウェーブシェープ切り替えボタンは緑色に光り、レコーディングモードに入ります。録音中、LFOジャックからパルスが出力され、様々な同期に便利です。
録音方法
Waveform Inジャック: ここにウェーブテーブル化したいオーディオを入力してください。ゲインは自動で調整されます。ラインレベルの音も入力可能です
録音: LFO→VCAボタンを押すことでWaveform inからの音の録音を開始します。録音は約2.5秒行われ、この2.5秒のオーディオセグメントから27の波形を構築します。またファームウェアv2以降 ではFineを押しながらLFO→VCAを押して録音することで1つの波形ごとに録音も可能です。録音が終わるとBrowseを少し右に回し、また1つ波形を録音・・・と繰り返すことで、一つ一つ調整しながら波形を録音することが可能です
モニタリング: 入力をモニタリングするのも可能です。緑色のボタンを押してください
テストトーン: チューニング用にテストトーンを出力可能です。Fineを押しながら緑色のボタンを押すと86.13Hzのテストトーンがモニターできます。録音するオーディオをこの音程に合わせることで、原音の音色が反映できます
録音後の編集
録音後は、オーディオを編集して実際にウェーブテーブルに格納する作業をします。保存する前に次のような操作が可能です
ウェーブフォームシフト: 波形選択のため録音素材内のポイントをスキャンします。中心のノブを押し回ししてください。
ウェーブフォームスプレッド: 録音素材から波形をとるパターンを調整します。 Transposeを押しながら波形ブラウズノブを回すことで、録音したオーディオから波形をピックアップする箇所をコントロールします
ウェーブフォームストレッチ: 波形を伸縮させ、ピッチをオクターブ単位で調整します。Octaveを押しながら波形ブラウズノブを回します。
さらに、ミュートボタンを押しながら下部中央の波形ブラウズノブを回すことで、選択しているエフェクトを波形にかけていくことができます。エフェクトは、一番左のミュートボタンからそれぞれ
ウェーブフォルダーエフェクト: 録音素材をウェーブフォルダーにかけるコントロール
ビットリダクションエフェクト: 録音素材をビットリダクション等で汚すコントロール
メタライザーエフェクト: メタリックな倍音を波形に付加します
ローパスフィルターエフェクト: 録音素材をローパスフィルターにかけます
ゲイン/ノーマライズエフェクト: 録音素材のゲインを調整します
スムーズ化エフェクト: 波形の端でのプチっとした音をなくします
に対応します。
編集が終わったら、ウェーブテーブル球体をユーザー定義テーブルのスロットに保存します。Presetノブを回し、ウェーブテーブルを記録するスロットを選んでからPresetノブを赤くなるまで長押しします。その後もう一度Presetをおすことで保存が確定します。
また、スフィアレコーディングモードでモニタリングONにして中心のノブを押すと、SWNの出力からはウェーブテーブル中27個の波形を8回ずつ再生します(トータル2.5秒程度)。これを録音デバイスで録音し、保存することでスフィアのエクスポートやシェア、PCでのエディットが可能になります(
ファームウェアv2以降 の機能になります)。
スフィアレコーディングの詳細については
クイックガイド の3ページをご覧ください
ファームウェア アップデート
SWNでは、オーディオファイルを使用してファームウェアのアップデートが可能です。現在のファームウェアバージョンは、SWN起動時のリングの状態で分かります。内側の赤いリングがメジャーバージョン、外側の青いリングがマイナーバージョン番号になります。
ファームウェアバージョン表示例
SWNに繋がっているすべてのケーブルを抜いてください
モジュールの電源を落とします
Right出力から音がモニターできます
ファームウェアファイル再生機器の音量を100%にセットし、それ以外の音が出ないように設定してください
下部真ん中の波形ブラウズノブを押しながらモジュールの電源を入れます。しばらくしてからブラウズノブをはなすとA CHのミュートボタンが緑色に点滅した状態になります
ファームウェアのオーディオファイルの再生を開始してください。スライダーのLEDがアニメーションするはずです
アップデートが成功すると、LEDのリングが青や緑で光り、ミュートボタンも青と緑で点滅します。失敗するとモニターしている音が出なくなり、ボタンのどれかが赤くなります。ファイルを最初まで戻し、ケーブルの接続、音量などを確認後、CH Aのミュートボタンを押してください。緑色に点滅し再度ファームウェアオーディオファイルを最初から待機した状態になるので、再生を開始します
アップデート成功後はブラウズノブを押せば新しいファームウェアで通常のオペレーション用に再起動します