Steady State Fate Entity Ultra-Kick
Format: Eurorack
Width: 14HP
Depth: 23mm
Current: 110mA @ +12V, 110mA @ -12V
Manual Pdf (English)
Format: Eurorack
Width: 14HP
Depth: 23mm
Current: 110mA @ +12V, 110mA @ -12V
Manual Pdf (English)
SSF Entity Ultra-Kick(UK)は、デュアルコア・レゾネイターを搭載する新しいキックドラム・シンセサイザーです。前身にあたるEntity Bass Drum(BDS)のシングル・コア設計を進化させた本機では、周波数成分を扱うメインのコアに加え、CHARACTERと呼ばれる2番目のレゾネイターコアを実装します。UKの主要機能であり、多彩なインパルス/アタックの生成能力と全体的な音響特性を決定づけるCHARACTERコアは、RIPPLE機能を介してメインコアでモジュレーションすることができます。BDSの出力ステージに配置されていたサチュレーション回路は改良され、新たにメインコアとキャラクターコアの間に実装します。また、Autodyneゆずりのコンプレッサーも内蔵。ニューヨークスタイルのミックスバランス・コントロールとサイドチェイン機能を備えます。
Ultra-Kick(UK)は、モジュール中央のトリガーボタン、または0Vから2.5Vで遷移するあらゆる正極の信号を使ってトリガーすることが可能です。TRIG入力にパッチされた任意の信号は、内蔵のトリガー調整回路によってモジュールが作動するために必要とする適切なトリガーの振幅とデュレーションに整形されます。トリガーがアクティヴな時はフロントパネルのLEDが点灯し、TRIG入力が使用されている場合は入力信号のデュレーションを示します。
最低5オクターブのトラッキング性能を持つV/Oct入力を利用して、ピッチCVに正確に追随するベースラインやパーカッシヴなメロディーを作成できるほか、例えば1オクターブ以内で変化するシーケンスをパッチすることで、ドラムパターンに心地よい変動性を持たせることができます。
上のイメージは、RESONATEコントロールがどのように波形に影響するかを示したものです。メイン・レゾネイターが入力トリガーによって励起され、励振によって生成された共鳴音の量をRESONATEの値で定義します。この励振は、共鳴音のトランジエントが終了する前に次のトリガーがレゾネイターのコアを再び励振させない限り、最終的には完全に減衰します。
トリガー信号はUKでサウンド・デザインをするために必要不可欠ですが、RESONATEコントロールが最大値、またはそれに近い状態の場合を除きます。これはモジュールが自己発振するために必要な高いフィードバック値である特別なケースです。なお、自己発振にトリガーが必要でなくとも、トランジエントにクリック感を与えることができます。このように、RESONATEはUKで作成したサウンドの全体的なデュレーションを変更します。続くセクションでは、この機能とPITCH ENVELOPEとの相互作用による多彩なキック、ベース、およびその他のパーカッシヴなサウンドの獲得方法を解説しています。
UKは固定アタック、VCディケイの準指数形エンヴェロープ・ジェネレータを内蔵します。このエンヴェロープは、メインおよび特性(CHARACTER)レゾネイターの周波数変調用の制御電圧、および特性コアのレゾナンス応答に作用する固定振幅のコントロール信号を提供します。ENV出力からはエンヴェロープ信号の固定振幅版コピーを利用できます。これは外部モジュールへの使用、またはUKの電圧コントロール型の機能の一つにセルフパッチすることができます。また、DUCK出力からは外部VCAのダッキングのためにスケーリングと反転され、正極にオフセットされたバージョンのエンヴェロープを利用できます。DEPTHはモジュレーションの深さ/強度を、PITCH DECAYはモジュレーション・エンヴェロープの減衰時間を変更します。上のイメージ中には、エンヴェロープが波形にどのように作用するかを表す簡素化された3つの例が示されています。ここでは、RESONATEコントロールによって決定される波形のデュレーションは、エンヴェロープの減衰時間より短い場合も長い場合もあることを理解しておくことが重要です。減衰時間と共振時間を一致させたい場合は、両パラメータを適切に調整する必要があります。
メイン・レゾネイターコアのピッチはFREQUENCYコントロールで設定します。このコントロールの幅はおおよそ8Hzから80Hzですが、設定する「基礎」周波数と結果の出力周波数との間には差異が生じます。これは変調エンベロープの深さとデュレーションに大きく依存するもので、設計上、変調エンベロープが落ち着くまでメイン・レゾネイターのピッチを上昇させます。この挙動は前述のエンヴェロープのセクションでも触れましたが、目的のサウンドを得るためには理解しておく必要があります。このことから、FREQUENCYコントロールで設定されたピッチは、内部またはV/OCT入力による外部からのモジュレーションの基礎レベル、またはオフセットとして動作すると考えると良いでしょう。
RESONATEとENVELOPEコントロールのセクションの詳細を参照して、これらのパラメータがどのように相互作用し、幅広いサウンドを生み出すかを理解する必要があります。以下に、いくつかの例を挙げてこれらのポイントを説明します。
上記の例のいずれも、続くセクションで記す6つのサウンド・シェイピングパラメータを利用することで更に改良することができます。
Punchは、インターステージ・トランジスタのソフトクリッパー/サチュレーターをコントロールします。ソフトクリッピングは信号にゲインを加え、 最終的に波形のピークをカットすることでディストーションを生成する、ハードクリッピングに似たコンセプトです。この種のディストーションは、クリッピングさせるトランジションで高周波が発生するため、荒々しいサウンドと考えられています。ソフトクリッピングは、これらのトランジションを丸めることで、より温かく、重低音のディストーションを生み出します。本機のPunch回路は、メイン(FREQUENCY)レゾネイター・コアの出力と、特性(CHARACTER)レゾネイターコアへの入力の間に実装されています。Punchコントロールが絞り切られた最小値の場合、入力信号は歪まずに若干アッテネートされます。Punchを少しずつ適用していくと、ボリュームとローエンドがブーストされ始め、ソフトクリッピングの領域からさらに高い設定値ではサチュレーションが適用されます。また、モジュール下部のPUNCH CV INPUTからパラメータを電圧コントロールすることもできます。
Characterは、UKのデュアルコア構造の2番目のレゾネイターをコントロールします。このレゾネイターの最終ステージでは、励起された波形のインパルス・トランジエント、および全体的な音質の優れたコントロールを提供します。このパラメータのエフェクト幅は、インパルス・トランジエントの繊細なバリエーションからユニゾン・エフェクトまでで、メイン・コアの共鳴波形の全体的なローパス・フィルタリングも実行します。このレゾネイターはメインコアの出力によって励起され、メインコアと同様に内部エンヴェロープでピッチ変調されます。メインコアと1V/Octトラッキング入力をシェアしますが、レゾナンス応答は異なります。Characterのレゾナンス応答はより減衰されたものであり、RESONATE設定の影響を受けません。EnvelopeとFrequencyのセクションで触れたように、PITCH DECAY ENVELOPEはCharacterのレゾナンス回路と結びついており、Characterコアのイニシャル・インパルスを励起するための特別なパワーを提供します。これにより、アクセントやクリック、パーカッシヴなアタック・スタイルを総体的にコントロールできる斬新な方法を提供する、より複雑なインパルス・トランジェントを作成します。Characterレゾナンスは、DECAYエンヴェロープの時間を長くすると減衰量が少なくなり、2つのコアがごく短い時間でぶつかり合うようになることで、イニシャル・インパルスのトランジエントに複雑さを追加します。これらの効果は、次のセクションのRIPPLEコントロールと併用することでより一層強調され、より複雑な領域に入ります。なお、CHARACTERパラメータもモジュール下部のCHAR CV入力とアッテネーターを利用してモジュレーションすることができます。
Rippleは、励起されたメイン(FREQUENCY)レゾネイターの波形をCHARACTERレゾネイターコアの専用FM入力に導入します。 特にCharacterやPunchパラメータと組み合わせることで、インパルス・トランジエントのサウンドの幅を拡張します。Rippleのレベルを上げると強さと幅が増し、興味深いFMやウェーブ・ディストーション効果が得られます。Punchは、設定によってRippleの効果を劇的に変更します。Punchが最小値の場合、Rippleの効果は最もクリーンなものとなるため、極端に激しいサウンドは得られません。ノブ設定を約9時以上にしてPunchを加えると、インパクトとトランジエント効果を高めるために荒々しさと存在感が強調されます。Punchの値を極端に上げると、Ripple効果よりもディストーションが優先されます。CharacterのレベルもRippleの効果に影響を与えるため、Ripple, Punch, Characterの各レベルの設定次第で様々な効果が得られます。また、RESONATEのレベルを上げることでメイン(FREQUENCY)レゾネイターコアがRippleを介してCharacterコアに与える影響が大きくなります。このように、Rippleはイニシャル・トランジエントのサウンドデザイン以外にも、ウェーブシェイピング機能として活用することができます。例えば、FREQUENCYセクションのタムドラムの例にRippleを少し加えることで、タムやボンゴのシンセシスを大きく改善することができます。
Dynamicsの機能セットは、Feed-forward式のオート・コンプレッサー、BASS DRIVEと呼ばれる電圧制御の6dB/Oct high-passサイドチェイン・フィルター、DYNAMICSとラベルされたニューヨーク・スタイルのwet levelクロスフェーダー、およびディスクリート・フィードバック型のディストーション・リミッターを搭載する電圧制御のGAIN-DISTORTIONで構成されています。