Frap Tools Brenso
Format: Eurorack
Width: 30HP
Depth: 38mm
Current: 325mA@+12V, 235mA@-12V
Manual Pdf (English)
Format: Eurorack
Width: 30HP
Depth: 38mm
Current: 325mA@+12V, 235mA@-12V
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Brensoは、西海岸シンセシスの流れを汲んだコンプレックス・オシレーターの概念を拡張し、より広いサウンドパレットを目指したFrap Tollsのフラッグシップオシレーターです。2つのトライアングルコアオシレーターを相互作用させ、複雑な音色を生み出す為の回路を多数搭載。もちろん2つのオシレーターをそれぞれ完全に独立にコントロールすることも可能です。
従来のコンプレックスオシレーターに比べ、以下の点に特徴があります。
また、オシレーター毎に設定できるスルーゼロ・リニアおよびエクスポネンシャルFMは、専用FMバスを介してオシレーターごとにFM Deviationをコントロール出来ます。さらにライブ中の不意なチューニングトラブルを防止するコース周波数ロック機能の搭載など、パフォーマンス志向のアーティストの必要性にも答えます。?
Brensoは、各オシレーターに対応するジェネレーターセクション(緑色と黄色)と処理セクション(赤と白)で構成されています。処理セクションでの変調を受けた黄オシレーター波形はFINALジャックから出力されます
Brensoは、個別にピッチを調整できる2基のアナログ・トライアングルコア・オシレーターでサウンドを生成します。それらの周波数は互いをモジュレート(スルーゼロ・リニアおよびエクスポネンシャル)可能で、シンクすることも(Flip SyncまたはLock)出来ます。各オシレーター周波数レンジはフロントパネルにラベルされている27.5Hzから7040Hzの値です。緑オシレーターはパネル上のスイッチ設定でサブ・オーディオレートでの動作も可能で、その場合の周波数レンジは0.15Hzから40Hzとなります。
V/Oct and Integrator
各オシレーターの周波数は専用のV/Oct入力により外部から音程コントロール可能です。
実は黄色のV/oct入力への信号は実は緑オシレーターにも適用されます。その際、V/oct Integratorを通すことで黄オシレーターから緑オシレーターに伝達させる1V/Oct信号にラグをつけることができ、緑オシレーターのピッチにグライドのような効果が生まれます。ラグを最大(ノブ左いっぱい)にすることで黄色へのV/Oct信号を緑オシレーターに伝達させるのを防ぎ、それぞれのV/Oct入力で各オシレーターのピッチを独立にコントロールする通常の運用が可能です。ノブを回していくと、目標の電圧値に達するまでにかかる時間が短くなっていき、右一杯の時、黄色オシレーターのV/Oct信号が緑オシレーターにもラグなしで伝達されます。
また、V/oct?Integratorを経由した電圧は、緑のV/oct入力の信号と合算されます。例えば、2基のオシレーターをユニゾンで使用し、Integrator経由で同じCVでコントロールする一方で、緑のV/oct入力を利用してオクターブシフトさせたりすることもできます。Integration TimeはCVでモジュレーション可能です。
Frequency Modulation
Brensoの2基のオシレーターは、オーディオレートでの周波数変調も可能です。外部ソースを使ってオシレーター周波数をモジュレートすることも出来ますが、パッチングされていない場合は各オシレーターのFM入力はもう一方のサイン波にセミ・ノーマライズされています。
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FM Routing
Brensoの両オシレーターはキャリア、およびモジュレーターとして同時に機能します。つまり、緑のオシレーターが黄色のオシレーターを変調し、黄色のオシレーターが緑のオシレーターの変調に戻る事が出来ます。これにより、2つのオシレーターだけで最終的なスペクトルの内容がノイズの領域にまで達するような、非常に複雑なサウンドを作り出すことができます。
これを実現するために、BRENSOには黄色と緑のオシレーター用それぞれに個別のFMバスが搭載されており、各バスは3つの主要コントロールを備えます。大きいノブはFM Diviationノブで、アッテヌバータ―つきのCVでもコントロール可能です。他の小さなノブはリニアTZFMアッテネーターとエクスポネンシャルFMアッテネーターです。Diviationノブではオシレーターに適用されるモジュレーション量を全体的に設定し、2つのアッテネーターはリニア・スルーゼロFM、およびエクスポネンシャルFMごとのFM量を決定します。FM効果を得るためには、Deviationコントロールに加え、Linear TZまたはExponentialアッテネーターのどちらかを0より大きい値に設定してください。
パッチングしていない時は各ジャック周辺の点線で示されている通り、各オシレーターの線形および指数形モジュレーション・ソースはもう一方のオシレーターのサイン波です。ジャックに他の信号をパッチする事でノーマライズを無効化し、その信号を使用することも可能です。
このバス設計には二つの大きな利点があり、一つは各オシレーター毎に独立してリニアとエクスポネンシャルFMを組み合わせる事ができる点で、もう一つは2つのバスに独立したCV入力を設けることで、各オシレーターのモジュレーション量を異なるソースでコントロールすることができ、より明瞭な音色を生み出すことができる点です。
BrensoではHard Syncではなく、異なるタスクを遂行する目的で設計された「Lock」と「Flip Sync」の2つの異なるシンク用回路を備えます。どのシンク回路を使うかは、緑オシレーターはフロントパネルの3ポジション・スイッチを介して、黄色オシレーターは基板裏のジャンパーを介して設定します。
Lock回路は、オシレーター(スレーブ)のピッチが他方のオシレーター(マスター)の周波数の整数倍または除数に非常に近い場合に、正確かつ繊細な補正を行うように設計されています。これは主に、同じV/oct信号で複数のオシレーターをCVコントロールした際に生じる、わずかなトラッキングの変動を補正するために使用されます。
3ポジションのSyncスイッチをLock位置に設定する事で、緑オシレーターを黄色オシレーターにロックする事が出来ます。黄色オシレーターにはこのようなスレーブになるための内部配線がありませんが、基板背面のジャンパーをLockに設定し、Sync入力に外部波形をパッチする事で、その波形にロックすることが出来ます。
緑オシレーターでFlip Syncを有効化するには、Syncスイッチを右位置に設定します。有効化されると、黄色のデューティサイクル毎に緑オシレーターのコアは自身の波形の向きを反転します。黄色オシレーターでも、Lockの場合と同様、基板裏のジャンパー位置をSyncに設定する事で黄色オシレーターにもFlip Syncを適用できます。?
Brensoの全ての白処理セクションは、一連の回路を介して黄色オシレーターの波形をモジュレートするために設計されています。ここでは、信号のルーティングの概要を説明します。
その矩形波に対してPulse Shaperと呼ばれる高調波または低調波を強調するCV可能なウェーブ・シェイパーが適用されます。メイン・コントロールの大きなノブが左一杯の位置の時、低域の周波数を強調します。ノブ位置が中央に近づくにつれて高音域の倍音が次第に大きくなります。この時点では、PWM回路で生成された波形がほぼ忠実に再現されています。ノブが中央位置を越える値では、高域の周波数が徐々に強調され、おおよそ2時で最も高い振幅になります。この時点から低域の周波数が再び強調されますが位相が反転されたものに変わり、このような反転された位相を持つ、元の信号の形状を維持した信号を右一杯の位置まで生成します。
Pulse Shaperセクションを通った信号は、Sourceセクションのクロスフェーダーのもう1つの入力となります。上記すべてのウェーブシェイピング技術は黄色オシレーターの波形に対して実行され、それらの適用量はModulation Busと呼ばれる回路を介して緑オシレーターのサイン波でモジュレート(オーディオレートでも)可能です。以下に続く段落ではモジュレーション回路の説明、および緑オシレーターとModulation Busの役割を説明します。?
Timbre Modulation Bus
Triangle Shaper, Pulse Shaper, Source, Wavefolder、これら4つのパラメーターは外部CV、または「Modulation Bus」を通した信号を使って電圧コントロール出来ます。
Modulation Busはマルチ・ターゲットのVCA回路であり、その入力はパッチされていない場合は緑オシレーターのサイン波出力から上記4つのパラメーターのCV入力へとつながっています。
メインの大きなノブはVCAレベルをマニュアルでコントロール、専用のアテヌバーター付きCV入力を利用して外部からコントロールする事も出来ます。ノブが左一杯の位置でVCAは閉じた状態に、右一杯でユニティーゲインとなります。Modulation Busは4つのCV入力に送られる信号の量を設定しますが、4つの回路セクション毎のアッテヌバータでモジュレーション量を個別に調整することもできます。
Modulation Busの主な目的は、特に外部CVを使用する際に、4つのCV入力へ送るモジュレーションの量を同時に、かつ動的にコントロールする事です。例えば、Levelノブを左一杯に設定してVCAを閉じます。続いてLevel CV入力にエンヴェロープをパッチし、アテヌバーターで任意の量に調整します。この方法で、4つのCV入力へ送られるモジュレーションの量をエンヴェロープがコントロールし、受信先のアッテネータでそれぞれをスケーリングできます。
緑オシレーターのサイン波が内部結線されているModulation Bus Inputはパッチすることで外部モジュレーションシグナルを使用することもできます。Modulation Bus Outputジャックは、VCAで処理された信号をパッチ内の任意の場所に送ることができます。
このセクションは、2または4象限のリニア・マルチプライヤーです。2象限ではVCA(AM)、4象限はリングモジュレーター(RM)となります。この回路の入力のひとつ目は常にTimbreセクションから着信する信号です。ふたつ目の入力はデフォルトでは緑のサイン波にセミ・ノーマライズされていますが、入力にケーブルをパッチする事で任意の信号を入力可能です。
メイン・コントロールはAM/RMノブで、基本的にTimbreセクションからの信号と、振幅変調されたその信号間のクロスフェーダーです。ノブが左一杯の位置の時、Final出力からの信号がWavefolderからの信号と正確に一致します。ノブを右に回す事で振幅変調された信号をブレンド、右一杯の最大値ではマルチプライヤーからの信号だけが聴こえます。このクロスフェードもアッテヌバータつきの電圧コントロールが可能です。
このマルチプライヤーは2または4象限で動作します。簡単に言えば、ウェーブシェイパーからの着信信号が常にバイポーラーであるのに対し、モジュレーターはユニポーラー(2象限)またはバイポーラー(4象限)のどちらかとなります。Brensoでは常に10Vppの信号を想定し、専用のスイッチを介して2つのタスクを実行するように内部でスケーリングします。AM/RMスイッチが上位置の時、モジュレーション信号の正極のみをスケーリングする事で2象限だけを使用してAMを実行します。下位置ではバイポーラーとなり、4象限を使用してリングモジュレーションを実行します。
オシレーター周波数をサブ・オーディオレートで変調した場合は、ヴィブラートに似たピッチの揺らぎを生成します。変調する側の信号がオーディオレートの場合では、人間の耳では揺らぎを知覚できません。オーディオレートFMの結果は、2つの周波数(通常は「キャリア」と呼ばれる変調されるオシレーターの周波数と変調する側「モジュレーター」の周波数)の相互作用の結果である音色を持つ、より複雑なサウンドになります。音色(Timbre)の変化は、キャリアとモジュレーターの整数倍の周波数の和と差である「サイドバンド」と呼ばれる別の周波数が発生することで起こります。キャリアの周波数とモジュレーターの周波数の比が3:1のように整数である場合は、FMで発生するサイドバンドは、キャリア周波数とモジュレーター周波数の整数倍の高調波になります。この比率を非整数で表すと、サイドバンドは非調和、つまりキャリア周波数とモジュレーター周波数の非整数倍になります。後者の場合、この手法でよく知られるベルのようなサウンドを生成します。
アナログ領域でのFMは、キャリアとモジュレーターの周波数の正確な比率をアナログ・コンポーネントで保証することが難しいため、多くの場合で近似的なプロセスとなります。サイドバンドの数と振幅は、キャリアに適用されるモジュレーションの量に比例し、これをしばしば「偏差(Diviation)」と呼びます。この値は、キャリアの周波数と、モジュレートされたときに到達する高いまたは低い周波数との差を定義します。この偏差値とモジュレーター周波数との関係をHzで表したものがFM指数(FMインデックス)です。例えば、モジュレーター周波数が200Hzで、偏差値が400Hzの場合、FMインデックスは400/200=2となります。
BRENSOでは、FMインデックスではなくDiviationをコントロールすることが出来ます。その理由は、Diviationの単位がHzであるためで、キャリア周波数に対する影響が、後者が大きくなるほど指数関数的に小さくなるからです。これにより、低中域のハーモニクスが豊かで、高域が不快にならないサウンドが得られます。FMは、モジュレーションがどのようキャリア信号に適用されるかによって、指数形または線形となります。線形(リニア)FMは、周波数を基準にしてキャリアを変調します。つまり、リニアFMでは変調量に応じてキャリアの周波数を同じHzの値で増減させます。指数形(エクスポネンシャル)FMは、キャリアの周波数に基づいて、つまり間隔を持って変調します。対称的なバイポーラー信号は、モジュレート量に応じてキャリア周波数を同じ間隔(例えば1オクターブ)で増減させます。これら2つの技術間の主な違いは、リニアFMのみが、キャリア周波数の上下に等しい間隔を持つサイドバンドを生成する点です。これは指数形モジュレーションが非対称であるためで、仮にA=440Hzの波形を指数形で変調し、モジュレート量が±1オクターブの場合、キャリア周波数は元の周波数から220Hz下と440Hz上の220Hz?880Hzの間で発振することになります。また、このようなモジュレーションは中心周波数のシフトを引き起こします。この場合、中心周波数は550Hzとなり、220Hzのちょうど330Hz上に、また880Hzの下となります。これにより、知覚できる元のピッチのデチューンがキャリア周波数の変更の都度発生します。サイドバンドは、キャリアおよびモジュレーターの整数倍の和と差ですが、キャリアとモジュレーターの差がマイナスの数値になる場合もあります。負の周波数は物理的に存在しないため、これらのサイドバンドは通常、聴き取ることができません。例えば、キャリア周波数が150Hz、モジュレーターの周波数が200Hzの時、最初のいくつかのサイドバンドは350Hzと-50Hzになります。しかし、通常のアナログ・オシレーターでは、0Hzになると発振を停止してしまうため、スペクトルの一部が消えてしまいます。そのため、BrensoにはスルーゼロFMと呼ばれる手法が導入されており、負のサイドバンド(ゼロ以下に位置するサイドバンド)は、位相を反転されて生成されます。その結果、アナログFMに比べてピッチのズレが少なく、より豊かな、自然で音楽的な音色を実現します。
シンクは、もともと2つ以上のアナログ・オシレーターの相対的な周波数のズレを改善し、安定させるために開発された様々な技術を指します。それらに共通しているのは、1つのオシレーターを基準として他一方のオシレーター信号と比較し、異なる場合は補正することであり、補正技術の違いによってシンク回路も異なります。
しかし、ある種のシンク回路では、スレーブとなるオシレーターを過度に変調することで最終的なサウンドに心地よい倍音が加わることが明らかになったため、より複雑な音色を生成するためにこれらの手法がサウンド・シンセシスに広く用いられるようになりました。例えば、多くのノコギリ波コアのオシレーターに実装されているHard Syncなどがこれに当たります。この回路では、「マスター」と「スレーブ」と呼ばれる2つのオシレーターを用い、マスターのデューティサイクル毎にスレーブの波形を強制的に0にリセットします。マスターの速度で波形がリセットされるため、スレーブの周波数を変調することでピッチを変えずに音色を変化させる豊かなサウンドが得られます。このプロセスのデメリットは、スレーブの波形がリセットされ始点に戻される度にスパイク的な波形が作られやすい点です。
Lockシステムは、マスターの矩形波を利用して、スレーブのコアのスレッショルドをわずかに変化させており、マスターの波形がプラスのときは上昇、マイナスのときは下降させます。その結果、スレーブオシレーターは、リセットや急な波形の方向転換を起こす事なく、マスターの周波数に緩やかに、かつ迅速に追従します。この回路は、ごくわずかな周波数差を補正するために設計されているため、主にスレーブのピッチが目的値の半音以内にある場合に使用することをお勧めします。もしも2基のオシレーター間の比率が整数でない場合、高調波のスペクトルに何らかの変化が生じる可能性があります。