Frap Tools Usta
Format: Eurorack
Width: 36HP
Depth: 38mm
Current: 270mA@+12V, 50mA@-12V
Manual Pdf (English)
Format: Eurorack
Width: 36HP
Depth: 38mm
Current: 270mA@+12V, 50mA@-12V
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Frap Tools Ustaは、4チャンネルx4トラックのユーロラック用シーケンサーです。ステージの持続時間を自在に変更できる本機における各ステージの持続時間は、例えばクロックインパルス毎に1ステージといった1対1の比率に制限されることなく、クロックに対して個別に設定することができます。各ステージは2つのCVと2つのゲート、最大で4つの制御電圧の生成と保存が可能です。2CV/2Gatesで構成されるトラックはステージごとに滞在時間をクロックの単位で設定可能です。
USTAでは、16のステージがパターンを構成し、16のパターンがトラックを、4つのトラックがプロジェクトを構成します。各トラックが含む各ステージは2つのCVと2つのゲートを持ち、各出力の値「レイヤー」とその再生方法「カラー」が存在します。各ステージごとにエンコーダーを持つため素早く直感的な編集が可能です。また、楕円形にレイアウトされた16個のエンコーダーをそれぞれ囲むように配置された16個のLEDリングとステージ毎のRGB LEDにより再生方法が視覚的にフィードバックされます。
パターンの呼び出し、パターンのミックス、カスタムループポイントの設定などにより、パターンをエンドレスに変え続けることも可能です。またより複雑で確定的なシーケンスを作りたければソングモードを使ってパターンの連続再生やループを行うことができます。
各トラックはトラックごとに設定したスケールにクォンタイズすることができます。また特別なスケールが必要であれば、自分自身のスケールを4つまで作ることが出来ます。また12音階以外にも15, 19, 22, 24のような音階数を設定したり、自身の音律を作り出すことが出来ます。
各トラックはトラックごとにクロック分割を設定できるだけでなく、トラックごとにクロックスピードの設定や外部クロックとのON/OFF設定ができます。
USTAはディスプレイを見なくてもパフォーマンスできるようにデザインされています。16のロータリーエンコーダーによって各ステージでの値を決め、モディファイヤーボタンによってトランスポーズや調整レンジのコントロールが可能です。
USTAではシーケンスを非破壊的にモジュレーションするやり方がたくさんあります。内部でのバリエーション及び外部CVの両方を使用できます。そのようにして作成された結果のシーケンスを新しいパターンとして保存し、そこを出発点にさらにモジュレーションを重ねていくことも可能です。
ステージ上の各CVとゲート値は、3つのカラーを持ち、カラーによってステージ上のCV/Gate値の解釈が変わります。青の場合は出力CVの値または音階、Gateの長さを示します。緑の場合は出力CVは前ステージのCVから現ステージ上のCV値まで連続的に変化し、ゲートにおいてはラチェットの数を表します。赤の場合はCVとゲート値がスキップされ、前ステージの値がそのまま保持されます。
外部のCVを用いてシーケンスをモジュレーション可能です。2つのCV入力のアサイン先は次の通りです。
Ustaをインストールし、システムの電源を入れると、ディスプレイにFrap Toolsのロゴを表示する起動画面が表示された後、作成しようとしているプロジェクトに関する様々な情報が表示されます。トラック1とそのCV Aが選択された状態であり、すぐに編集作業に入ることができます。
16個のエンコーダーを回すと、それらを囲むLEDが徐々に点灯すると同時に、ディスプレイ左下の隅には選択中のステージのピッチを示す音階の変化が表示されます。これがシーケンスの内容で、トラック1のCV Aジャックから出力されます。出力信号をオシレーターの1V/Oct入力にパッチし、モジュール右下のPlayボタンを押すことでシーケンスを確認できます。
次に、GT Aボタンを押してゲート・チャンネルにアクセスし、CVの時と同様にエンコーダーを回します。これにより、入力した16の音符それぞれに独立してゲート=ハイの時間を定義します。トラック1のGate A出力をVCAやフィルターをコントロールするエンヴェロープにパッチする事で、同じ長さを持つ16音のシーケンスが完成します。
Ustaの構造は、ユーザーの利便性を犠牲にする事なく幅広い組成ツールを提供するようにデザインされており、例えば完全ポリフォニーでの作業、速い/遅いシーケンスの混在、音符の長さの変更、演奏される度に変化する特定の音符を作成しつつ、選択したキーを維持する、任意のステージでのランダム・ラチェットの作成、ソング構造の中でのセクションのループの作成など、音楽的なシーケンスの作成に求められる様々な機能セットを実装します。
USTAでのトラックごとのクロックは、「時間単位」と「時間比」という2つのコンセプトによって実現します。「単位(ユニット)」はステージの最短時間であり、「比率(レシオ)」はクロックテンポに対する単位の間隔の長さを定義します。
Ustaでは16の異なるレシオを設定する事が可能で、8つはクロック分割であるためクロック・インパルスよりも長い単位となり、7つはクロックの乗算であるためクロック・インパルスよりも短い単位に、1つはクロック周期と同等であるため、クロック・インパルスに等しい長さの単位となります。下図は設定可能なレシオ値のリストで、左がクロックの数、右がユニットの数です。
ステージでの滞在時間は0から16ユニットまで、ステージごとに異なる長さを設定可能で、0ではそのステージが長さを持たないためスキップします。このような時間比と単位の組み合わせにより、Ustaは非常に柔軟なステージ設定のシーケンスを生み出します。例えば、下の画像にあるメロディー(a)を作成する場合、規則的なクロックを用いた標準的なステップシーケンサー(b)では16のステップと4つのゲートを必要とするのに対し、Ustaでは音楽的イベント(音符)毎に、それぞれが関連する持続期間とゲートを持つ4つのステージだけで済みます(c)。
Ustaでのシーケンス編集は、ナビゲーション・メニューと、ボタンやエンコーダーの組み合わせ操作の両方で行います。同様に視覚的フィードバックも色分けされたLEDと「ダッシュボード」と呼ばれるディスプレイの基本画面で提供される情報の組み合わせです。
Ustaの一般的な動作に関する設定はプロジェクト・メニューとトラック・メニューからアクセスしますが、各ステージのデータのような音楽的な内容のデータは、すべて専用のエンコーダーとボタンで設定するため、メニュー操作は不要です。
初回起動時に、Ustaは自動的にNONAMEという空のプロジェクトを作成し、編集可能な状態にします。 全ての編集内容は揮発性メモリに保存されますが、データの損失を防ぐためにプロジェクトをSDカードに書き出し保存することが出来ます。これらのタスクを実行するプロジェクト・メニューにアクセスするには、ナビゲーション・エンコーダーを3秒ほど押し続け、右横のMenu LEDが赤色に点灯したことを確認します。メニューに入ったら、エンコーダーを回して項目をナビゲートし、クリックで目的のものを選択します。プロジェクト・メニューでは、プロジェクトに関する以下の操作が可能です。
Load, Delete, Renameのタスクの実行時には、全プロジェクトがリストされた新規ウィンドウが開きます。ナビゲーション・エンコーダーを回して目的のプロジェクトを選び、クリックすることで目的のタスクを実行します。プロジェクトの新規保存、または既存のプロジェクトの名前を変更する際は、プロジェクト名を入力するための新規ウィンドウが開きます。入力した名前の最後の文字の後ろの「<」はDeleteシンボルで、この記号が表示されている時にエンコーダーをクリックすると文字や数字を削除できます。文字を入力するには、エンコーダーを回して目的の文字を選んでクリックして確定... を繰り返します。名前の入力が完了したら、Playボタンを押して保存するか、Resetボタンで操作をキャンセルします。
TIP: これらの操作はライブ用に設計されたものではない為、Ustaの再生中にプロジェクトの保存が行われた場合、モジュールは現在のステップで瞬間的にフリーズしますがすぐに正常な再生に戻ります。再生中にプロジェクトのロードをする場合、Ustaは停止しませんが、LEDやスクリーン、RGB LEDやStage ArcといったUIのすべての要素が1/2秒ほど、瞬間的に無効になります。
microSDカードには多くのプロジェクトを保存できますが、アルファベット順の最初の128のプロジェクトだけが使用/リコールされます。プロジェクトの編集が終わったら、Escボタンでダッシュボードに戻ります。選択したプロジェクト名が表示されます。
Ustaでは、一度に1つのトラックを編集できます。初期状態ではトラック1が選択されていますが、4つあるTrackボタンのいずれかをクリックすることで他のトラックを選択できます。
クロックを設定するには、ナビゲーション・エンコーダーをクリックしてトラック・メニューにアクセスします。始めに、トラックのクロックが内部クロックに従うか、外部クロックに従うかを選択することができます。内部クロックによるコントロールを選択した場合、Int BPMパラメータを編集することで内部のテンポを設定します。
内部または外部、どちらのクロックを使用する場合でも、ステップの単位を計算する時間比をRatioパラメータで選択できます。全てのトラックに同様のトラック・メニュー設定を適用したい場合は、Set Allボタンを押しながらナビゲーション・エンコーダーをクリックして設定を保存します。設定が終われば、Escボタンをクリックしてトラック・メニューを終了してダッシュボードに戻ります。
Ustaのデフォルトの再生モードはPatternモードであり、パターンのループが再生(順序は後述のSongモードで変更可能)されます。新規プロジェクトを作成すると、Patternモードでは最初のパターンのみがループ再生されます。PatternモードはEditとPerformanceと呼ばれる2つのサブモードのどちらかで動作します。EditとPerformanceモードはPencilボタンを介して切り替え可能で、選択中のモードは鉛筆型のLEDで示されます(Edit=赤色、Performance=緑色)。
Editサブモードでは、任意のあらゆるパラメータを変更できます。前述の通り、編集中でもシーケンスを再生することも可能で、再生中の現在のステージはプレイヘッドと呼ばれる青緑色のRGB LEDによって視覚的にフィードバックされます。プレイヘッドは、選択中のパターンの再生中にのみ表示されます。例えば、パターン2を編集する場合、パターン2が再生されていればプレイヘッドが表示されますが、パターン1が再生されていればプレイヘッドは表示されません。
Pencil LEDが緑色のPerformanceサブモードでは、表示されるパターンは、トラックに応じて常に再生されているものになります。このモードでは、パターンの編集は出来なくなりますが、他の操作は可能です(後述参照)。ダッシュボードの3行目には、現在編集中または再生中のパターンに関する全ての情報が表示されます。「see」は、編集目的で選択中のパターンを示します。
パターンを選択するには、Editサブモードである事を確認してナビゲーション・エンコーダーを回します。エンコーダーの操作に合わせて、seeの数値が変化するのを確認できます。「play」は、再生中のパターンを示します。続くスラッシュで分割された2つの数字は、パターン構造の始点と終点を示します。これらはデフォルトで「01/01」に設定されており、パターンのループが最初のパターンのみに限定されていることを意味します。パターン1の再生中に他のパターンを編集することも可能ですが、新規に編集したパターンがパターンのループに含まれていないと、その結果は確認できません。
パターンのループを延長するには、Performanceサブモードに入ってSet Allボタンを押しながらナビゲーション・エンコーダーを回してループ構造の最初のパターンを設定するか、Shift Allボタンを押しながらナビゲーション・エンコーダーを操作して最後のパターンを設定します。これにより、Ustaはこれら2つに含まれる全てのパターンを、それらを含めてループします。なお、Patternモードでは1つのパターンから他のパターンへと番号順でプレイヘッドが移動するため、最後のパターンは最初のパターンよりも大きい(または同じ)である必要があります。異なるパターン順で再生するには、Songモードの項を参照してください。
パターンのループを編集する他の方法は、ボタン・コンビネーションです。UstaがPerformanceモードの時、すべての編集オプションが無効となります。16個のステージ・エンコーダーが最初の16のパターンに紐づけられ、Shift Allボタンを押している間は最後の16のパターン(17から32)に紐づけられます。これらは、指定のパターンをマニュアルで呼び出すためにクリックする事ができますが、パターン・ループを即座に定義するためにも使用できます。Set Allボタンを押したまま、最初と最後のパターンに対応するエンコーダーをクリックして、パターン・ループの新しい終点を設定します。Shift Allボタンも併用する事で、パターン17〜32も設定できます。全てのトラックに同じパターン・ループ設定を同時に適用したい場合は、Performanceサブモード中にShift Allボタンをダブルクリックします。参考テクニック動画 1, 2
パターンの内容を変更するには、各ステージを編集します。各ステージは、ユニット(単位)と表現される独自のステージ長、及び2つのCVと2つのゲートの情報を記憶することができます。これらのデータにアクセスし変更を加えるには、4つのChannelボタンまたはLengthボタンで目的のチャンネルを選択し、それぞれのステージ・エンコーダーで値を変更します。各エンコーダーは特定のステージに対応しており、最も上の右側のステージから時計回りに番号が振られています。
16個の黄色のLEDでステージ・エンコーダーの周りに形成されたStage Arcは、選択したチャンネルの値をステージごとに示します。
各パターンは初期状態で、1ユニットの長さが等しい16ステージのシーケンスを持ち、そのスピードはクロックと選択したレシオに依存します。
まずは各ステージの長さを編集してみましょう。
LengthボタンのクリックでアクセスできるLengthセクションでは、各ステージの長さを「ユニット/単位(前述参照)」で決定します。各ステージの長さの初期値は1ユニットで、値を増やすには対応するエンコーダーを時計回りに回します。エンコーダーを回す操作のステップごとにステージ長が1ユニットずつ増え、最大値の16まで増やすことが可能です。操作に応じてStage Arcが点灯し、ステージ毎の正確なユニット数を示します。Stage Arcが消灯するまでエンコーダーを反時計回りに操作することも可能で、この場合のステージ長は0となり、このステージは再生中はスキップされます。
パターン全体の長さは上から2行目の右側に「L」の文字と共に表示されます。この値は、パターン全体の長さを変えずに2つのステージ長を編集したい場合に便利です。参考テクニック動画 1, 2
演奏中は、パターンの長さを固定したままステージの長さを編集すると便利です。Coarseボタンを押したままでステージ長を変更すると、パターンの長さが変わらないように隣接するステージの長さが自動で補正調整されます。
CV、ゲートの両チャンネルともに、メインとなる各パラメータのValue(値)以外に、 Variation Index(ランダム値の変動率), Variation Range(ランダム値の変動幅)というランダムに関係した2つの追加的なデータのレイヤーを備えます。Channelボタンを繰り返しクリックすることで、これらのレイヤーをサイクルします。選択中のレイヤーは各Channelボタンの上に配置されたLEDの色で赤→緑→青と示されます。
赤色のLEDで示される最初のレイヤーは実際のCV値を決定し、それぞれ緑色と青色のLEDで示される2次レイヤーと3次レイヤーは、CVのランダムバリエーションの確率と範囲を管理します。レイヤーを変更してから各ステージのエンコーダーを操作することで、各レイヤーの値をステージごとに設定します。ランダムな要素を入れない場合にはデフォルトの赤レイヤーでCV値の設定のみを行えば大丈夫です。
RED CVレイヤー:Value
チャンネルを選択すると、初期状態で赤色の1次レイヤーが示されます。このレイヤーは、Ustaが出力する実際の電圧であるステージの値に関するデータを格納します。これらの値は、クォンタイズされたピッチCVまたは、電圧で表示される生のもの(Raw CV)になります。初期設定でのCV Aはピッチで、メロディーラインを生成するために使用できます。CV BはRaw CVで、モジュレーション用途に使用できます。トラック設定を変更することで、両方のCVをRawに、またはクォンタイズされたものにすることも可能です。
この値を編集するには、編集したいステージに対応するエンコーダーを操作します。ステージの値を編集する度に、ダッシュボードの4行目が更新され、トラック内のそのパターンにおけるそのステージの情報が示されます。ピッチモード中は、Stage Arcも選択した音階を正確に示します。消灯時はC、1つではC♯/D♭、11個点灯でB... というように、左から数えて12個のLEDがノート値の半音階に対応します。残る4つのLEDが右から左の順でオクターブを示します。
初期状態では、Ustaはオクターブを12の等間隔の音階に分割する、12半音の平均律で作動しますが、この設定を変更することで15, 19, 22, 24音階などの、より複雑なオクターブ分割を行うこともトラック設定から可能です。
Raw CVチャンネル(初期状態のCV B等)では、エンコーダーを時計回りに操作することでステージのCV値が0.05Vまたは50mVのステップで増加します。このモードでは、CoarseおよびFineの編集が可能で、Coarseボタンを押したままでエンコーダーを操作すると0.5V(500mV)のステップ、Fine(EscとCoarse両方を押したまま)では0.001V(1mV)のステップとなります。値の視覚的フィードバックは、Stage Arcがそれぞれ備える16個のLEDにより、1つが0.625Vのスケーリングで示されます。参考テクニック動画 1
GREEN CVレイヤー:Variation Index
Channelボタンを2回クリックすることでアクセスする緑色の2次レイヤーは、 Ustaが1次レイヤーの値を任意の上下にシフトさせる確率を制御します。デフォルトで値は0であり、Stage Arcが完全に消灯した状態です。これはノート値または電圧値が変更される確率が無いことを意味し、Ustaは1次レイヤーで割り当てられた値に変更を加えません。ステージ・エンコーダーを時計回りに回すと、その音符が別の音符(Variation Index)に置き換えられる確率が上がります。この索引情報(Index)は、次項の3次レイヤー(青色)で定義された範囲の値から選ばれます。Stage Arcの16のLEDのうち8個が点灯した場合は設定された値が再生されるか否かは5分5分同率となります。
BLUE CVレイヤー:Variation Range
Channelボタンを3回クリックしてアクセスする青色の3次レイヤーは、Variation Indexが参照する値の範囲を定義します。3次レイヤーでは、Ustaがコインを投げた後に選ばれうる値を両極の範囲で選択できます。つまりUstaでは、プレイヤーの指示に応じてランダム値の範囲を徐々に拡大します。
各ステージは、ステージ・エンコーダーを繰り返しクリックすることでアクセスできる「Stage Colors」と呼ばれる3つの異なる方法で演奏できます。前述の「レイヤー」と「ステージカラー」との関係は、レイヤーはコンテンツ、つまり各ステージが演奏する値に影響を与え、カラーはフォーム、つまりそれらの値が演奏される方法に影響するものと解釈できます。
CV AまたはCV Bのチャンネルが選択された際にデフォルトで選択される「フラット」と呼ばれる一つ目のステージカラーは、青色のStage LEDで示されます。シンプルにステージのCV値がステージにいる間出力されるこの設定は、古典的なシーケンサーに見られる通常の動作と言えます。
ステージ・エンコーダーを一回クリックしてアクセスする2つ目のカラー、「スライド」は緑色のStage LEDで示されます。このモードでは、定義されたステージ値を演奏するのではなく、前ステージの値から新しい値への直線状に移行するランプ波形電圧を自動で生成します。ピッチに対しては「グライド」効果となります。
ステージ・エンコーダーを2回クリックしてアクセスする、「スキップ」と呼ばれる3つ目のカラーは、赤色のStage LEDで示されます。このカラーのステージでは、前のステージで生成された値を引き継いで出力します。ステージ・エンコーダーをもう一度クリックすると「フラット」に戻ります。参考テクニック動画 1, 2
各トラックが備える他の2つの出力ジャックはゲート信号を出力します。CVチャンネル同様に、各ステージには3つの異なるレイヤー、および3つの異なるゲートカラーを設定することができます。1次レイヤーはUstaが各ステージで演奏するゲートの数を決定し、2次、3次レイヤーはCVレイヤーと同様に1次レイヤーの値に様々なバリエーションを加えます。
Red Gate Layer: Value
デフォルトでは1次レイヤーがアクティヴな状態であり、赤色のRGB LEDで示されます。この1次レイヤーは「ゲート値」を設定します。ゲート値は、ステージカラーが青色の場合はゲートの長さ(Gate Length)を、またステージカラーが緑色の場合はステージ中の連打数(gate number/ラチェット)を示します。ゲート数を編集するには、目的のステージ・エンコーダーを時計回りに回すことで、エンコーダーを囲むStage Arcが示す1から16の値を選択します。ゲート数を0に設定することも可能で、この場合はゲートの生成は行われず、出力はステージの全長でローに留まります。
Green Gate Layer: Variation Index
Channelボタンを2回クリックしてアクセスする、緑色のLEDで示される2つ目のGateレイヤーは、3次レイヤーで設定した範囲に基づいて、Ustaがランダムにゲート値を変更する確率をコントロールします。Gate Variation IndexもCVレイヤーのCV Variation Indexのように、ステージ・エンコーダーを時計回りに操作することで、1次レイヤーで選択した値をUstaが変更する確率を増やします。
Blue Gate Layer: Variation Range
Channelボタンを3回クリックしてアクセスする、青色のLEDで示される3次レイヤーは、取りうるゲート値の範囲を決定します。このレイヤーは、2次レイヤーの確率が0よりも高い場合に有効になります。
ゲートにおいても、「Stage Colors」と呼ばれるゲートの再生方法をステージごとに設定可能です。
青色のStage LEDで示される一つ目のステージカラーは「Gate Length」と呼ばれ、Gate AまたはGate Bが選択された時点でデフォルトで利用できます。このモードでは、エンコーダーでゲート長を設定します。ゲート長は、ステージ全体の中でゲート=ハイである部分の長さです。Stage Arcで示される17種の長さが選択可能で、Arcの点灯が無い場合はステージの全長でゲート長ゼロで休符となります。エンコーダーを時計回りに回すことでゲート長が徐々に増え、最大値の時、ステージの間中ゲート=ハイに留まり、次のステージのゲートと連結されます。この青色のステージカラーを選択すると、2次および3次レイヤーで設定されたVariationパラメーターがゲート長に変更を加えます。
「Gate number」と呼ばれる2つ目のステージカラーは、ステージ・エンコーダーを一度クリックすることでアクセス可能で、緑色のStage LEDで示されます。このモードでは、ステージの間に生成されるゲートの数をエンコーダーで設定します。ラチェットの分割は、UstaがLengthパラメータで設定されたステージの長さに基づいて行うため、ゲート数が2の場合、個々のゲートはステージ長に応じた異なる間隔と長さを持つことになります。この緑色のステージカラーを選択すると、2次および3次レイヤーで設定されたVariationパラメータがゲート数に変更を加え、異なる数のゲートを作成します。参考テクニック動画 1, 2
Gate Numberの場合、ゲート長は50%となっており、この設定は前述のTrackメニューのGate Width %オプション下で変更することができます。ステージ・エンコーダーを2回クリックしてアクセスする、「Skip」と呼ばれる3つ目のステージカラーは赤色のStage LEDで示されます。このモードでは、Ustaはそのステージの全期間にわたってゲート信号を生成しないため、休符同様の扱いとなります。青色や緑色のステージカラーでゲート値を0にすることでも同様の効果が得られますが、例えばパフォーマンス中に特定のゲート値を保ったままで一時的に任意のステージを無効化したい場合などに便利なモードです。
Ustaは作曲作業を手助けするいくつかの機能を備えており、これらはディスプレイの左側に配置された3つのライトグレーの「Mod」ボタンでアクセスします。
Set All & Shift All
Editモード中、上記2つのボタンのどちらかを押しながらステージ・エンコーダーを操作することで複数のステージを同時に編集できます。編集対象となるステージは全ステージ(all)、または押したエンコーダーのステージ以降のステージ全て(from)で、どちらにするかはプロジェクトメニューのAll Editsオプションから変更可能です。
「Set All」ボタンは、押しながらステージエンコーダーを回すことでそのエンコーダーの値に一括で設定します。CV, Gate, Length値の一括編集や、ステージカラーの編集時に実行できます。また、Trackメニューのオプションを設定している際にSet Allボタンを押し続けることで設定が4つのトラックすべてに同時に適用されます。
「Shift All」とラベルされた2つ目のボタンも同様に機能しますが、複数ステージに一括で値を設定するのではなく、エンコーダーを回した分一括でシフトします。Set Allと同様に、このボタンもまた値とカラーのどちらにも機能します。
Coarse and Fine
1次CVレイヤーでは、ステージ値を1ボルト単位で編集することができます。実行するには、ステージ・エンコーダーの操作中にCoarseボタンを押し続けます。
また、EscボタンとCoarseボタンの2つを押したままにすることでアクセスできる「Fine」モードでは、PitchやRaw電圧を微調整することができます。これにより、ステージ・エンコーダーを使ってPitchモードでは半音のセント単位で、Rawモードではミリボルト単位で値を変更できます。
Coarse/FineボタンをSet AllやShift Allボタンと組み合わせて使うことで、パターン全体を1オクターブずつトランスポーズしたり、全ステージに対して同時に微調整を適用するなどのタスクを実行できます。参考テクニック動画 1, 2
再生と一時停止、リセットといった、シーケンスに必要なこれらのトランスポート・コントロールは、各トラック間のMasterとSlaveの関係に依存しており、深く結びついています。
Masterトラックは、他のトラックが再生、一時停止、リセットのために参照するトラックです。Master/Slaveの関係はこれら3つの操作に限定されており、テンポや時間比などの他の全てのパラメータ設定は、各トラック毎に独立しています。Ustaにロードされた全てのプロジェクトに対して、Masterトラックは1つだけとなります。MasterトラックはProjectメニューのMaster Trackオプションで選択します。デフォルトでMasterトラックはトラック1に設定されています。
トラックをMasterトラックに従属させるには、Trackメニューに入り、「Reset on」オプションまでスクロールして「Master」に設定します。デフォルトでは、全トラックがMasterトラックへのSlaveとなっており、MasterとSlaveのトラックを合わせて「マスタートラック・グループ」と呼びます。任意のトラックをMaterトラックから切り離すことも可能で、この設定ではMaster Track Groupの中で実行される再生やリセット等のコマンドはこのトラックには作用しなくなります。
複数のトラックがMasterトラックから切り離されている場合、これらのトラックで再生やリセット等のコマンドが実行されるたびに切り離された全てのトラックに影響します。トラックをMasterトラックから切り離すには、各トラックのReset onオプションで「Local」または「Instant」のいずれかを選択します。
シーケンスの再生/一時停止に使用するPlay/Pauseボタンは、デフォルトでグローバル・コントロールとして機能するように設定されており、1つ以上のトラックの再生中に押すことでそのトラックを一時停止、全トラックの再生中に押せば全トラックを一時停止、全トラックが一時停止の時に押せば全トラックを再生します。
Escボタンを押したままPlay/Pauseボタンを押すことで、選択中のトラックだけを再生/一時停止することもできます。Play/PauseボタンをSet AllやShift Allボタンと組み合わせることで、補助的な操作も実行できます。選択中のトラックがMaster Track Groupに属している場合、Shift Allボタンを押しながらPlay/Pauseボタンを押すことで、グループの全トラックを再生/一時停止します。少なくとも1つのトラックが一時停止状態の時、この組み合わせはグループ内の他の全トラックを一時停止します。
Set Allを押し続けることで、Master Track Groupの全トラックが現在選択されているトラックと同じように、一時停止中であれば関連するトラックも一時停止に、再生中であれば関連するトラックも再生されるように設定されます。これらの修正は、Masterトラックの現在のステージが終了した後に行われます。選択したトラックがMaster Track Groupに属していない場合、Shift Allボタンを押しながらPlay/Pauseボタンを押すことでMasterトラックから切り離されている全トラックを再生/一時停止します。少なくとも1つのトラックが一時停止状態の時、この組み合わせによってグループ外の他の全トラックを一時停止します。Set Allを押し続けると、現在選択されているトラックと同じように、マスタートラック以外のすべてのトラックが設定されます。これらの修正は、現在選択されているトラックのリセット設定に従って行われます。「Local」の場合は、選択中のトラックの現在のステージが終了した後に行われ、「Instant」の場合は即座に行われます。選択中のトラックの現在の状態は、Play/Pause LEDによって再生中は緑色、一時停止中は赤色で示されます。
Resetボタンを押すことで、プレイヘッドをパターンの最初のステージに戻します。プレイヘッドを現在のパターンの最初に戻すか(Reset Stage)、最初のパターンの最初のステージに戻すか(Reset Stage & Pattern)を設定することも可能です。このパラメータを変更するには、Trackメニューに入ってReset Whatオプションまでスクロールし、StageまたはStage&Paのいずれかを選択します。また、Resetボタンを無効化するNothingオプションを選択することもできます。各トラックはResetコマンドに対して4つの異なる方法で応答することができ、最初の2つはトラックとMasterトラックの関係に依存します。
これら2つのオプションを有効にするにはTrackメニューに入ってReset Onオプションまでスクロールし、Masterに設定します。このオプションは、例えば複数のトラックを異なるテンポや時間比で再生中に、それらを同時にリセットするよう強制する必要がある場合などに便利です。単一のトラックを独立してリセットしたい場合は、Reset Onオプションから「Local」と「Instant」という更に2つの設定を選ぶことができます。
リセット機能は、外部トリガーを介して実行することも可能です。
TIP: トラックに対してPattern Shiftが有効になっている場合、Resetボタンを押すことで最初のパターンにCVオフセットで決定されたパターンシフト値を加えた番号のパターンにシーケンスを戻します。
上記のオプションに加えて、本機ではStage Loopオプションを介してパターン構造の特定の部分をステージ単位で指定し、トラックごとに個別にループさせることができます。
ループ機能は、Patternモードでのみ動作し、Songモードが有効になると自動的に無効になります。ループ動作をコントロールするために、FROM(ループを開始するステージ/パターン)、LEN(length: ループに含まれるステージの数)、FOR(ループする回数)の3つの変数が使われており、これらはダッシュボードの下段に表示されます。
Stage LoopのFROMを定義するには、Set Allボタンを押しながらナビゲーション・エンコーダーを操作します。最初の数字がステージ番号、2つ目がパターン番号です。LENを定義するには、Shift Allボタンを押しながらナビゲーション・エンコーダーを操作します。lengthはステージ数で表現されるため、結果となる長さは各ステージが持つ1から16までのステージ長の値に依存します。FORを定義するには、Coarseボタンを押しながらナビゲーション・エンコーダーを操作します。FORパラメータは、このループを終了するまで、これらのステージを何回ループさせるかを表します。値は0から16までで、0ではループ無しとなります。
Stage Loopのon/offを切り替えるには、Set Allボタンをダブルクリックします。Stage Loopが有効になると、Stage Loop LEDが点灯します。プレイヘッドがStage Loopのセクションに到達していない場合、LEDは赤色となり、プレイヘッドがすでにLoopセクション内にある場合は緑色になります。
Stage Loopが有効の場合、プレイヘッドがFROM地点に到達した時点でループ・セクションを開始、Stage Loop内のステージを定義された回数だけ再生した後、オリジナルのシーケンスに戻ります。FROMを[02/03]、LENを[04]、FORを[02]に設定した場合の例では、パターン3が次のように演奏する事になります。[]の中がStage Loopです。:
1 2 3 4 5 [2 3 4 5 2 3 4 5] 6 7 ....
FORの値を0に設定した場合、Stage Loopは一旦作動すると無限にループするようになります。プレイヘッドを無限ループから抜け出させるためには、Set AllボタンをダブルクリックしてStege Loopを無効化します。参考テクニック動画 1
Songモードでは、トラックのパターンを任意の順序で配置することができます。これはデフォルトのPatternモードに代わる代替モードであるため、SongモードとPatternモードを同時にアクティヴにすることはできませんが、Trackメニューのオプションで、再生時にUstaがどちらに従うかを選択することができます。
Songモードは、「Slot」内に配置された一連のパターンです。1つのソングには、16スロットのページを最大4つ、合計64スロットまで設定可能で、1トラックにつき1つのソングを利用できます。1つのトラック内に2つ以上のパターンが構成されている場合、Songモードでは各パターンを1つまたは複数のスロットに割り振ることで、任意の順序にアレンジすることができます。各スロットは、次のスロットに移る前に最大で16回までリピートすることができます。
ソングはUstaがPatternモードで再生中でも作成できます。実行するには、PencilボタンをクリックしてEditモードに入り、Escボタンを押しながらPencilボタンを再度クリックしてEdit Songモードに入ります。これにより、ギターの形をしたSong LEDが赤色に、Pattern LEDが緑色に点灯します。これはPatternモードでソングの編集中であることを意味します。
この設定では、16のステージ・エンコーダーを介して2つの操作を実行することで、選択したページのスロットを編集します。1つ目は目的のスロットで再生するパターンの選択、2つ目はそのパターンを再生する回数(0から16)の選択です。ページを変更するには、シンプルにナビゲーション・エンコーダーを操作します。Edit Songモードに入ると、5つのパラメーター・LEDが全て赤色に変わり、Ustaがスロット毎のパターン番号を編集中であることを示します。
各エンコーダーを操作して再生されるパターン(1から32)を選択します。Stage Arcには、選択したパターン番号が示されます。各スロットごとのパターンを繰り返す回数を編集するには、いずれかのChannelボタンをクリックしてRepetitionパラメータにアクセスします。レイヤーのRGB LEDは全て緑色に点灯します。
このモードでは、各エンコーダーで繰り返しの回数を0から16で設定します。それに従いStage Arcも点灯します。PatternモードからSongモードに切り替えるには、Trackメニューに入ってTrack Modeオプションまでスクロールし、設定をPatternからSongに変更します。メニューから抜けると、LEDの異なるレイアウトを確認できます。
これにより、選択されたトラックが現在Editモード(Pencil=red)であること、Songモード(Guitar=green)であること、更にパターンの視認/編集中(Pattern LED=red)であることが示されます。ソングの構成が決まったら、Play/Pauseボタンをクリックして再生を始めます。再生中は、選択したモードに応じてプレイヘッドの表示や動作が異なります。
トラックがEdit Songモードの場合、Stage LEDは以下のようになります
下の例では、スロット1, 2, 3, 4, 7, 8, 16に繰り返しが設定されており、ソングがスロット3を再生中で、そのパターンではステージ9が再生中となります。
トラックがEdit Patternモードの場合、前述の通りプレイヘッドはこのモードのルールに従い、現在編集中のパターンをUstaが再生している時にのみ表示されます。UstaがPerformance Patternモードに設定されている場合、プレイヘッドはソングで決められた構造に従って、すべてのパターンの全ステップを移動します。Songモードが有効になると、ダッシュボードのPattern Loopの表示が「Rep」の後に2つの数字が続く表示に変わります。これらは「Repetition(反復)」を意味し、現在のパターンの繰り返し、またはそのスロットに設定されている繰り返しの総数を示します。
Ustaでは、再生を止めることなく、また同期を保ったままで再生中にモードを変更することもできます。変更はTrackメニューのTrack Modeオプションから実行します。設定したモードはパターンの終点で有効になります。参考テクニック動画l 1
UstaがPerformanceサブモードに設定され、PatternまたはSongモードのいずれかの場合、すべての編集オプションは無効となります。16のステージ・エンコーダーは最初の16のパターンに紐づけられ、Shift Allボタンを押し下げることで続く16のパターン(17から32)に紐づけられます。 これらはボタンとしてのみ機能し、ボタンを押すことで任意のパターンを即座に呼び出すことができます。これにより、上記で設定したPattern LoopのルールやSongモードで想定されるパターンのシーケンスを一時的にバイパスします。選択したパターンが呼び出されて再生されると、使用中の再生モードと選択されたPattern Loopに応じた異なる結果を持つ、オリジナルのシーケンスに戻ります。Ustaは1つの値しか記憶しないため、このモードで2つのエンコーダーを押した場合は後者の値だけが有効となります。更にUstaは、デフォルト設定であるFull Pattern Recallと、エンコーダーを押す前にCoarseボタンを押し下げることで利用できるPattern Mixという2つのオプションを備えます。これらの呼び出しオプションは、選択されたトラックにのみ影響します。
Full Pattern Recallでは、Ustaはアクティヴなパターンがその終点に達するのを待ってから、ステージ・エンコーダーを押して選択したパターンを再生します。選択したパターンがPattern Loop内にある場合、Ustaは選択されたパターンの後続パターンの再生を続けます。例えばPattern Loopが1から10までの設定でパターン2にいる時にパターン6を呼び出した場合、シーケンスは2, 6, 7... のようになります。選択したパターンがPattern Loop外にある場合、Ustaはそのパターンを1回再生した後、前のパターンの後に続けて再生します。上記と同じ例でパターン15を呼び出した場合、シーケンスは2, 15, 3, 4... のようになります。
Pattern Mix機能は、Full Pattern Recallと似ていますが、主にパターン変更のタイミングが異なります。この機能は、ステージ・エンコーダーでパターンを選ぶ前にCoarseボタンを押し下げる(パターン17から32の選択にはShift Allも使用)ことで実現します。エンコーダーを押して新しいパターンを選択すると、プレイヘッドは再生中のステージが終了するのを待ち、現在のパターンではなく、選択されたパターンで連続するステージを再生します。例えば、2番目のパターンのステージ7を再生中に5番目のパターンを選択すると、Ustaはステージ7の終了を待ち、パターン5のステージ8へと移動、これらをミックスします。参考テクニック動画 1
Ustaでは「Mute Track」と「Mute Channel」、ライブパフォーマンス時に便利な2つのレベルのミュート機能を備えます。
Mute Track
この機能は、ミュートされたトラックの全ての出力を一時的に無効化します。実行するには、Escボタンを押しながらミュートしたいトラックのTrackボタンをクリックします。ミュートされたトラックは、ダッシュボードの現在のステージ部分にTRACK MUTEDの文字で示されます。
Mute Channel
Mute Channelは、より具体的なレベルで各トラックの1つ、または複数チャンネル出力を個々にミュートします。このオプションは、例えばGate Aでキックドラムを、Gate Bでスネアを、というように同じトラックの異なるチャンネルを使って、異なる音源をコントロールしている場合などにも便利です。チャンネルをミュートするには、Escボタンを押しながら任意のChannelボタンをクリックします。
ホールド機能を使って、特定のトラック内の現在のチャンネル値をフリーズすることも可能です。実行するには、Set Allボタンを押しながらChannelボタンのいずれかを押します。これにより、Ustaはボタンがリリースされるまで、その特定の瞬間に再生されている値を保持します。
より長いポリフォニック・シーケンスを扱ったり、複数のトラックで複数のパターンを交差させる必要があるような、モジュールの停止中に曲構成を行いたい場合、UstaにはCompositionモードと呼ばれる非同期型の電圧モニタリング・システムが用意されています。Compositionモードに入るには、UstaがEdit Patternモードで一時停止中(Play/Pause LED=red)の時、編集したいCVレイヤーを選択し、目的のTrackボタンをダブルクリックします。これによりGate AおよびGate Bをハイになり、最後に再生したステージの青緑色のプレイヘッドが点灯します。最後に再生したステージが選択したものと異なるパターンにある場合、選択したパターンの最初のステージが青緑色に点灯し、そのステージのゲートが開きます。ナビゲーション・エンコーダーを前後に操作することで、プレイヘッドを異なるステージ間で交差します。これにより、現在のステージ設定の確認と編集のためにシーケンスをマニュアルでスキャンできます。このパラメータは、アナログのオープンリール・レコーダーのように双方向に、様々なパターンで動作します。16番目のステージに到達した後、ナビゲーション・エンコーダーを更に時計回りに回すことでプレイヘッドは後続パターンの最初のステージに移動し、反時計回りに操作すると最初のパターンとは異なるパターンの最初のステージを過ぎたところで、前のパターンの最後のステージにプレイヘッドが移動します。ディスプレイは、選択されたステージに応じて、ステージのデータ(CV A、CV B、Gate A、Gate B、Length)を自動的に更新します。編集作業が終了したら、選択したトラックを再度ダブルクリックします。これにより、Ustaは元のシーケンスに戻り、最後に再生されたステージからそのシーケンスの再生を始めます。シーケンスを最初から確認したい場合は、シンプルにResetボタンを押します。Compositionモード中にPlay/Pauseボタンを押すと、現在選択されているものの後にそのシーケンスを再生します。この機能は、シーケンスを最初のステージ以外のステージから部分的に確認したい場合に便利です。Compositionモードは、Trackメニューが開いている状態では利用できず、緑色または赤色のCV/GATEステージカラーを無視し、そのトラックのゲートは常にハイに、CVは常に選択されたステージの値を正確に再現します。参考テクニック動画 1
外部キーボード、または任意の1V/Octコントローラーを使用してシーケンスの構成するには、現在のトラックを停止し(Play/Pause LED=red)、Compositionモードに入ります。キーボードのGate出力をUstaのAuxiliary Gate入力に接続し、キーボードのCV出力をUstaのCV A入力に接続します。これにより、キーボードのキーを押すことでCompositionモードでハイライトされたステージの定義されたノート値を上書きし、キーのリリースによるキーボードのゲート出力がプレイヘッドを後続ステージに移動します。この方法では、ステージ長に関係なく、ピッチ値のみを入力します。リズムを設定する場合は、前述のLength設定を参照してください。なお、Compositionモードを有効にすると、外部キーボードのCompositionモードを使用するために、Auxiliary Gate入力の主な機能はバイパスされます。参考テクニック動画 1
非決定論的な作曲方法を実行したい場合は、例えばシーケンスの再生中に緑色と青色のレイヤーを使って徐々に変化を加えたり、CVを使って完璧な組み合わせを見つけるまで外部モジュレーションを加えることができます。Ustaは、パターンの最後に再生された値を保存するため、それらを呼び出して再現することができます。Ustaはステージを再生するたびに、その値を揮発性メモリに保存し、プレイヘッドが再度通過して上書きするまで保持します。これにより、常に更新される16の要素のアレイが各ステージ、各トラックに1つずつ配置され、任意のパターンにいつでも移行することができます。最後に再生されたステージごとに保存されるデータは、全チャンネルの値(CV A, CV B, Gate A, Gate B)とステージの長さで、Variation Index, Rage, Stage Colorに関するデータは保存されません。保存モードはLast Full PatternとLast Playedの2つがあり、これら2つの違いは、前者がパターンの終わりに全アレイを更新するのに対し、後者は新しいステージが再生されるたびに、古いアレイ要素を消しながらアレイを更新する点です。保存された値にアクセスするには、レイヤーボタンを介してコピーしたいステージのあるトラックを選択し、Editモードであることを確認します。ナビゲーション・エンコーダーで目的のパターンを選び、Last Full Patternの場合はShift Allボタンを、Last Playedの場合はCoarseボタンをダブルクリックすることで、目的のパターンに結果が反映されます。これらの操作は、Ustaが停止している時にも実行可能で、複数のレイヤー値をダンプしたり、パターンのコピーを増やしたい場合に使用します。また、全ての値は対応するステージに紐づけられており、そのステージにのみダンプされます。
TIP: モジュール起動時は全ての値が0となります。現在のパターンを上書きした場合、Variationに関する以前の全データ(緑色および青色レイヤー)は影響を受けずにUstaによって実行されるため、コピーしたものと結果のシーケンスが異なる場合があります。最後に再生したシーケンスを確認したい場合は、Variation IndexとVariation Rangeをすべて0に設定します。使用中である可能性のあるCVモジュレーションにも同様の方法を適用します。例えばステージ8〜16の長さが0のパターンの途中でダンプを実行した場合や、起動直後にストアを実行した場合、再生されていないステージのダンプ値は0となります。
予測不可能な要素を使用して即興演奏をしている時、最終的に完璧なシーケンスが出来ても、それが1〜2ステージずれていることに気づくことがありあます。このような問題を解決するために、Ustaではパターンを回転させて他のトラックに合わせることが可能で、このように発見したシーケンスの始点を正しく配置することができます。
パターンを回転するには、Trackボタンを押しながらナビゲーション・エンコーダーを任意の方向に操作します。操作に応じて16のステージが回転するのを確認でき、もしもシーケンスが再生中の場合は結果を即座に聴くことができます。この機能は、パターンの長さ、チャンネル値、およびレイヤーを同時にシフトします。
特定のステージの全データを、同じパターンの他ステージにクローン化することができます。これにより、ターゲットとなるステージの全レイヤーが、ソースに含まれるデータに置き換えられます。実行するには、Escボタンを押したままSet Allボタンを押し、両方のボタンを離します。
上のイメージのように、Clone Stageメニューがディスプレイに表示されます。はじめに、対応するステージエンコーダーを押してソースとなるステージを入力すると、ディスプレイにステージの番号が表示されます(下の例ではステージ12)。
ここから、任意のステージエンコーダーを押すことでソースのデータをクローン化します。この操作は何度でも繰り返すことが可能で、1つのステージを複数のステージにクローン化することができます。
最後にクローン化されたターゲットが上のようにディスプレイに更新されます。Escボタンを押すことで、いつでもClone Stageメニューから退出できます。
レイヤー、パターン、トラックといったステージの構造(STRUCT)もまた、クローン化することが可能で、レイヤーとパターンは、そのトラック内でのみクローンを作成することができます。これらの構造をクローン化するには、Escボタンを押しながらShift Allボタンを押し、2つを離します。
ディスプレイには、Clone Structメニューが表示され、クローン化できるすべての構造が示されます。Escボタンを押すことで、いつでもClone Struct機能から退出できます。
レイヤーのクローン化
CV A, CV B, Length, Gate A, Gate Bといったパターンのレイヤーをクローン化するには、複製したいレイヤーのボタンを押しながらステージエンコーダーを押してソースパターンを定義します(パターン1はエンコーダー1、パターン2はエンコーダー2、など)。パターン17から32にアクセスするには、Shift Allボタンも同時に押し続けます。以降は、他のステージエンコーダーを押すことで、ソースのパターンの選択されたレイヤーがターゲットにクローンされます。上の例では、選択したトラックのパターン12のGate Aのデータをクローン化しています。他のパターンエンコーダーを押すと、手順をやり直すことなく、複数のターゲットへのクローン化が繰り返されます。
最後にクローン化されたターゲットが上のようにディスプレイに更新されます(例では14)。
レイヤーのクロス・クローン化
レイヤーを元のレイヤーとは異なるCVやGateチャンネルにクローンすることも可能です。例えば、パターン1のCV Aの値をパターン3のCV Bに、パターン15のGate Bの Variation Indexをパターン22のGate Aにクローン化することができます。実行するには、レイヤーの複製と同じ手順でターゲットのCVまたはGateボタンを押してから、ターゲットのパターンエンコーダーを押します。
パターンのクローン化
パターンをクローン化するには、Clone Structメニューが表示されている時にソースとなるパターンのステージエンコーダーを押します(パターン1はエンコーダー1、パターン2はエンコーダー2、など)。パターン17から32にアクセスするには、Shift Allボタンを押しながら操作します。
以降は、他のエンコーダーを押すことでソースのパターンのデータが目的のターゲットにクローン化されます。上の例では、選択したトラックのパターン12をクローン化しています。続けてエンコーダーを押してパターンを選ぶことで、手順をやり直すことなく複数のターゲットにクローンを作成することができます。
最後にクローン化されたターゲットは、上のようにディスプレイに更新されます(例では14)。
トラックのクローン化
トラックをクローン化するには、Clone Structメニューの表示中に対応するTrackボタンを押してソースとなるトラックを選択します。
以降は、任意のトラックをクリックすることで、ソースのトラックのデータを任意のトラックにクローン化することができます。上の例ではトラック1をクローン化しています。
続けてトラックをクリックすることで、手順をやり直すことなく複数のターゲットにクローン化を実行できます。最後にクローン化されたターゲットは上のようにディスプレイに更新されます。なお、全てのクローン化機能は破壊的な編集であり、各エンコーダーを使用したステージの編集に似たものです。
作曲は、一定量の試行錯誤を伴う作業です。制作したものに満足できない時、Ustaではトラックの内容をいつでも消去することができ、手動で操作する必要も、新しいプロジェクトをゼロから始める必要もありません。トラックを初期化するには、目的のトラックを選択し、Edit Patternモードであることを確認してからPencilボタンを3秒間押し続けます。これにより、他の3つのトラックに影響を与えることなく、選択したトラックをオリジナルの状態に戻します。
パターンを新しい順序で素早くアレンジしたい場合、同様にソングを初期化することもできます。実行するにはトラックを選択し、Edit Songモードに入ります。続いてPencilボタンを3秒間押し続けることで、全ソングのスロット値を0に復元します。
Ustaのフロントパネル上部の4つのジャックは、外部モジュレーション専用であり、内2つは外部トリガーまたはゲートの受信用に、2つは外部CVの受信用にデザインされています。外部ゲート用ジャックは、外部クロック入力およびPlay/PauseまたはResetに、CV入力はVarishift, Stage Shift, Gate Shift, Root ShiftとPitch Shiftと呼ばれるトラックごとの4つの異なるモジュレーションに個別にルーティングできます。これら4つのモジュレーションがシフトと呼ばれるのは、これら全てが着信電圧を参照してステージの設定値を増減するためです。これら全てのモジュレーションは、ステージ期間中にリアルタイムで実行されるPitch Shiftを除いて、ステージの終了時に適用されます。
外部クロックソースを使用するには、信号をClock Inputにパッチし、TrackメニューのClock SourceオプションでExternalを選択します。外部クロックを使用する場合、SwingおよびRatioのオプションが常に利用可能となりますが、これらは前のインパルスの中央値で新しいステージごとに計算されるため、エフェクトの品質は安定した外部クロックに依存します。1:1以外のSwingとRatioが必要ない場合は、ランダムまたはマニュアルのトリガーを使ってシーケンスをアニメーション化することができます。
Ustaには、外部ゲート用の予備入力があり、内部のルーティングパラメータに応じて効果を選択することができます。デフォルトで、この入力はシーケンスをリセットしますが、Ustaと他のハードウェアを同期するためのRun信号の受信にも使用できます。この設定はグローバルなもので、ProjectメニューのAux Targetから設定できます。
Reset
Aux TargetがResetに設定されている場合、AUX入力にパッチされたゲートはマニュアルのResetボタン同様の機能を実行し、「Reset What(StageまたはPattern)」と「Reset On(Master, LocalまたはInstant)」の設定に応じてトラックに影響を与えます。
Run
Aux Targetメニューの4つのRunオプションは、外部クロックを使用しながら他の機器とUstaをコントロールするためのものです。ここでは、AUX入力にパッチされたゲートがPlay, Stop, Resetの3つの機能を持ちます。機器ごとに同期の動作が異なるため、Ustaは以下のように3つの異なるオプションを提供します。
Ustaは、モジュレーションのために使用できる2つの外部入力を備えており、モジュレーションの送信先を具体的なメニュー設定を介して行います。1つの入力を複数のモジュレーション・オプションに割り当てることが可能で、特定のトラックの外部CVモジュレーションを有効にするには、Trackメニューに入ってShift項までスクロールします。利用可能なオプションはPitch Shift A, Pitch Shift B, Root Shift, Gate Shift A, Gate Shift B, Stage Shift, Vari Shift, Phase Shift, Pattern Shiftです。送信先を選び、エンコーダーを押してNone, Ext CV A, Ext CV Bの中からソースを選択します。
Pitch Shift
このオプションでは、PitchモードのCVレイヤーでピッチシフトを実行できます。このモードでは、入力は連続的にサンプリングされ、選択したスケールで利用可能な最も狭い間隔にスケーリングされます(デフォルトでは半音、変更可能)。クォンタイズ値が変わるたびに、モジュレートされたトラックはそれに応じて、ステージの再生中であってもピッチシフトを実行します。Variation Layers(IndexとRange)がステージ値の変更に使用された場合、これはステージの開始時、ピッチシフトの前にUstaによって考慮され、外部のピッチシフトが値を変更する場合でも、これらのバリエーションがステージ中に再び実行されることはありません。結果の値は、使用中のScale, Root, Quantization Directionを参照してクォンタイズされます。Cメジャーの例では、Variation Rangeの値が2(±4半音)のステージの通常のノート値がDとなります。Variation Rangeのコイントスが+2半音を指定し、ノート値はEとなります。ステージ開始時にピッチシフトが0の場合、UstaはEを再生します。CVがステージの途中で0Vから0.5V(+6半音)にモジュレートした場合、結果のピッチシフトはE+6半音からA#に変化し、Quantization Directionの設定に従ってBまたはAにクォンタイズされます。Raw CVモードを使用している場合はPitch Shiftを実行できません。例えば、333モジュールを使ってクォンタイズされていない電圧をUstaの外部で合算する方が理にかなっています。
Root Shift
このCVのアサイン先では、Dynamic Quantization(後述)で選択したScale/Modeのルートを変更することができます。例えばロクリアンが選択されている場合、着信CVがルートを変更し、異なるロクリアンを作成して進行中のメロディーをクォンタイズします。これはCVのオートメーションでモードの小片を作成するのにとても便利で、同じCVをRoot ShiftとPitch Shiftの両方にルーティングすることで、正確なトランスポーズとなります。もちろん、選択した音階がクロマチックの場合、Root Shiftでは目立った効果は得られません。
Gate Shift
このパラメータは、着信CVを使って特定のステージでUstaが再生するゲート値を増減します。ここでも、値の最小/最大は0と16であり、ステージが持つゲートの定義値が0の場合(休符としてカウント)、負極のオフセットでは聴覚上の効果は得られず、ステージが持つゲートの定義値が16の場合に正極のオフセットを受信した場合も同様であることを意味します。このモジュレーションを使用して、負極のオフセットを送信することでゲート値を0にし、特定のステージをミュートすることもできます。
Stage Shift
このモジュレーションは、シーケンスで定義されたオリジナルのステージ長を維持したまま、トラックの4チャンネルのステージ値をシフトします。言い換えると、プレイヘッドがリズム構造を維持している間に、メロディーの内容はパターンの更に下にある他のステージ値に応じて変更されます。Stage Shiftが有効で、4つのチャンネルのいずれかが選択されている場合、青緑色のプレイヘッドが対象となるステージ、つまりシフトされたステージを表示し、Lengthパラメータが選択されている場合は、通常のステージのシーケンスを表示します。例:ステージ1から8のステージ長が1ユニットに、ステージ9から16のステージ長が0ユニットに設定されています。ループ再生する場合の通常の動作では、ステージ1から8まで再生され、ステージ1に戻ります。生成されるCVとゲートは、それらのステージで設定された値です。Stage Shiftでは、個々のステージ長は変更されませんが、各CV値とゲート値は、着信するCVオフセットによって決まる対象ステージの1つに置き換えられます。この場合、値2の安定したオフセットの検出により、パターンの長さはステージ1から8となりますが、ステージ値は3から10となります。Stage Shiftはパターンを跨がないため、シフトの結果が16よりも大きい場合は常に、ステージ1から数値が繰り返されます。Stage Shiftはステージの変更に基づいて計算されるため、作成したリズム構造に影響を与えることなく、シフトまたはあらゆる種類の風変わりなステージのシーケンスを獲得できます。Stage Shiftモードを有効にするには、目的のトラックを選択してメニューに入り、Stage Shiftまでナビゲートしてシフトのソースとして使用したいCVチャンネルを選択します。
Vari Shift (Variation Shift)
外部CVの利用可能な送信先の1つはCV AおよびCV Bのバリエーション範囲で、これらは青色のレイヤーでマニュアルで設定されます。このオプションでは、CV Variationの確率パラメータが0より大きい場合に、Ustaが選択できる値の範囲を自動的に増減できます。前述のBlue Gate Layerの項のとおり、Variation Rangeはバイポーラーであり、正極のCVがステージ値を上下に広げ、負極のCVはそれを減少させます。CV Variation Chanceが0に設定されている場合、このモジュレーションによる効果は起こりません。
Pattern Shift
Patternモードのパターンのデフォルトの順序は、Pattern RecallやPattern Mixを介して一時的に変更したり、またはSongモードで異なる構造を定義することができますが、Pattern Shiftを介して他のパターンを自動で呼び出すことも可能です。この機能は、外部CVを使用して、現在のパターンに続く本来のパターンを変更するもので、定義されたPattern Loop外のパターンを呼び出すことはできません。同じ理由から、Pattern ShiftはSong Mode時に動作するように設計されていません。デフォルトで、Patternモード時のUstaは一度に1つのパターンで前進します。Pattern Shiftは、デフォルトである+1の動作にオフセットを加えます。例えば、値1に相当するオフセットが適用された場合、Ustaは2つのうち1つのパターンをスキップします(1から3へ、3から5へ)。また、パターンループにパターンが3つしか含まれていない場合、Ustaはパターン1から3へとスキップし、その後2に戻り、さらに1, 3, 2へと戻ります。パターンに4つのパターンが含まれ、3のオフセットが適用された場合、新しいオフセットによってループが常に戻されるため、Ustaはパターンシフトが開始されたパターンのみをループし続けるような挙動になります。Pattern Shiftを有効にすると、Resetボタンの機能もそれに応じて変更されます。ループを最初のパターンにリセットする代わりに、最初のパターンとPattern Shiftで定義された番号のパターンにリセットします。
Phase Shift
Ustaでは、外部CVを使用してトラックの位相、つまり予想されるタイミングに対する位置をシフトできます。正極の電圧はトラックを時間ユニットの半分まで「ビートの後ろ」にシフトすることで、ルバートやディレイのような効果を生み出します。Phase Shiftの大きな利点は、トラックの速度が遅くなったように感じても、クロックに影響しない点です。着信CVが0に戻ったり、ケーブルが外されたりしても、トラックは即座に通常の位置に戻ります。マニュアルのオフセット、エンヴェロープ、クロックされたランダム電圧を適用することで、興味深い効果が期待できます。参考テクニック動画 1, 2, 3
これまでの操作に加えて、より詳細な編集が可能な以下のオプションには、ProjectメニューまたはTrackメニューからアクセスします。
各トラックのCV AおよびCV Bは、独立してPitchモードまたはRawモードで動作するように設定できます。これら2つのモードは、コントロール電圧の送信先に応じて、あらゆるニーズに対応するように設計されています。オシレーターのピッチ用のCVまたはV/Octに応答する他の用途に必要な場合はPitchモードが適しており、それ以外の用途ではRawモードが適しています。デフォルトでCV AはPitchモードに、CV BはRawモードで動作するように設定されています。これらを変更するには、目的のトラックを選択し、ナビゲーション・エンコーダーを押してTrackメニューに入り、「CV A Mode」または「CV B Mode」までスクロールします。エンコーダーを再度押して任意のモードを選び、再度エンコーダーを押して確定、Escボタンでメニューを抜けます。CV AまたはCV BがPitchモードに設定されている場合、ダッシュボードには音階が示され、Rawモードの場合にはミリボルト単位で電圧が示されます。
Ustaは、トラックごとの各CV出力をユニポーラー(単極/0V〜10V)またはバイポーラー(双極/±5V)で動作するよう、個別に設定できるオプションを提供します。この設定は、CV出力がPitchモードかRawモードかに関係なく実行できます。このオプションが必要な理由は、オシレーターを440Hzにチューニングする際に、低い音に対して負極の値を適用することが有効な場合がある一方で、フィルターのカットオフをコントロールする場合などに、正極の値のみで動くCVを適用することが有効な場合があるためです。デフォルトで、すべてのパラメータはユニポーラー幅で動作するように設定されています。この設定は100%ソフトウェアに依存しているため、各トラックのチャンネルに異なる設定を行い、プロジェクトごとに保存や呼び出しを実行できます。トラックのCV出力の幅をを設定するには、ナビゲーション・エンコーダーを押してTrackメニューにアクセスし、「CV A Range」または「CV B Range」までスクロールします。0/10Vまたは-/+5Vから任意の出力幅を選択し、エンコーダーを再度押して確定、Escボタンでメニューを退出します。特定のCV出力のトリミングが必要な場合は、マニュアルを参照してください。
デフォルトで、ゲートカラーが緑色の時のゲート幅(ゲート=ハイを維持する時間)は、2つの連続したゲートの上昇エッジ間の50%です。この割合は、各トラックのGate AおよびBに対して個別に変更することが可能です。実行するには、Trackメニューの「gtA % Width」または「gtB % Width」を選択し、任意の値に設定します。設定できる幅は10%から90%です。
Ustaでは、Swingオプションを介して各トラックに独立してスウィングを設定できます。伝統的に、スウィングは弱拍よりも強拍の音符を長く演奏することで、標準的な8分音符のパターンを変更し、ある種の「跳ねた」感じを表現するリズムのスタイルです。一般的にはブルースやジャズのスタイルで演奏されていますが、電子音楽にグルーヴ感を加えるのにも有効なツールと言えます。スウィングの比率、つまりスウィングで演奏される2つの8分音符の1番目と2番目の要素の関係を決める、特定のルールはありません。一般的に、スウィングは1:1(スウィングなし)から3:1(1つ目の音符が付点8分、2番目が16分音符)の間となりますが、最も一般的な比率は2:1程度で、1番目が4分音符、2番目が8分音符の8分三連符のようなグルーヴになります。Ustaでは、各ペアの2番目の音符を遅らせることでSwingを実行します。遅延の量は、音符の長さに対する割合で表示されます。例えば、50%の設定では2番目の音符が自身の長さの半分遅れ、1番目の音符が50%長くなり、スウィング比が3:1となります。設定できる最大値は75%で、7:1という極端な比率となります。これは前述のような従来のスウィングのスタイルを遥かに超えており、より実験的なリズム構造を獲得できます。Swingパラメータは、2つのユニット間で動作します。2つのステージの長さがそれぞれ1ユニットずつであれば、その効果は顕著に現れます。長さが2になると、理論的にはステージ内でスウィングが発生するため、効果は確認できません。長さが3の場合では、1番目のステージの最後のユニットと2番目のステージの最初のユニット間でスウィングが発生します。つまり、2つのステージのうち、少なくとも1つのステージの長さが奇数のユニットである場合にのみ、スウィングを確認することができます。選択したパターンのステージ数が偶数の場合、スウィングのパターンが異なるループ間で一貫して繰り返されます。パターンのステージ数が奇数の場合、Ustaは最後のステージを音符のペアの1番目の要素として、2番目の要素は後続パターンの1番目に、ループ時は同じパターンの1番目の音符として解釈します。この最後の仮定では、2番目のループですべての弱拍と強拍が反転するため、同じパターンでリズムが交互に変化することになります。
PatternまたはSongのPerformanceモードでは、ダッシュボードの5段目に、最後に編集したステージではなく、プレイヘッドが再生しているステージの5つのチャンネルをリアルタイムで表示するように設定できます。このオプションを有効にするには、Projectメニューに入って「Show In Play」までスクロールして「Yes」を選択します(速度を低下させる可能性があるため、デフォルトでは「No」に設定されています)。
Pitchモードでスケールが選択されると、1V/Oct基準で半音をどのようにクォンタイズするかをルート音に応じて定義します(Rawモードでは選択したルート音とスケールは無視され、クォンタイズは実行されません)。トラックのルート音を設定するには、任意のTrackボタンをクリックしてからナビゲーション・エンコーダーを一回押し、Trackメニューに入ります。続いてメニューのRoot項までスクロールし、再度エンコーダーを押してオプションを確認します。スケールのルート音を選択し、エンコーダーを押して確定します。次に、メニューのScale項までスクロールしてエンコーダーを押し、スケールのオプションを確認します。任意のスケールを選択し、エンコーダーを押して確定します。また、4種類のQuantization Directionsから1つを選択することも可能で、入力電圧のクォンタイズ値は、選択された基本スケール内(例:12平均律)、特定のスケールタイプ内(例:メジャー・ペンタトニック1)の順で、以下のように決定されます。
設定を行うには、メニューのQuantize項までスクロールしてエンコーダーを押し、オプションを確認します。任意のオプションを選択し、再度エンコーダーを押して確定します。生成されたすべての音符は、これら4つのルールに従ってクォンタイズされます。また、Variation Rangeが有効なステージでは、バリエーションの結果をクォンタイザーに送ることで、選択したクォンタイズ設定に一貫してマッチする音階を出力するといった便利な機能もあります。参考テクニック動画 1
Ustaでは、より実験的なコンポーザーのために、標準的な12-EDO(Equal Division of Octave/12平均律)とは異なる、微分音のオクターブ分割を選択することが可能で、15-EDO, 19-EDO, 22-EDO, 24-EDOの4種類を利用できます。異なるオクターブ分割を選択するには、Trackメニューを開いて「Tones Per Oct」項までスクロールします。初期値は「12EDO」で、標準的な西洋の平均律です。この設定では、前述のようにScaleおよびRootオプションがクォンタイズを決定します。別のオプションを選択すると、必要なオクターブごとの音符の数に応じて以下のメニュー項目からスケールとルートが取得されます。例えば、Tones Per Octを19EDOに設定した場合、Root 19とScale 19で設定したオプション(Root 15, Scale 15, Root 19, Scale 19, Root 22, Scale 22, Root 24, Scale 24)によって、スケールとルートがそれぞれ決定されます。Ustaでは様々なプリセット・スケールが用意されていますが、それぞれのオクターブ分割ごとに4つまでのカスタム・スケールを定義することもできます。Quantization Directionで設定した内容は、選択したすべてのオクターブ分割に適用されます。12以上のオクターブ分割を選択すると、それに応じてStage Arcのビジュアル・フィードバック・システムも変化します。エンコーダーの操作で11音目に達し、Stage Arcの11番目のLEDが点灯した後は、最後の1音(15, 19, 22, 24音目)に達するまで、左端のLEDの消灯により次のインターバルが示されます。続いて右側に別のLEDが点灯して次のオクターブが最初から始まります。Coarseボタンを押したままにすると、エンコーダーは常にステージ値を1クリックあたり1オクターブでシフトし、Fineボタンを押したままにすると常にピッチをセント単位でシフトします。
TIP: EDOの設定を高くしてもUstaが演奏可能な音符の総数は変わらないため、オクターブ幅が狭くなります。例えば、24EDOを選択した場合、USTAの音域は10オクターブではなく5オクターブとなります。
外部からのピッチシフトも可能ですが、1V/Oct基準は適用されません。これらのマイクロトーナル・モードでは、オクターブ分割に関係なく、1/12Vが1音階に相当します。 つまり、標準的なV/Octキーボードでピッチシフトを実行した場合、半音上であれば1微分音程分のメロディーがシフトすることになります。24EDOを選択した場合では、キーボードの2オクターブがUstaの1オクターブに相当します。この1/12Vごとのインターバルは、外部コントローラーを介したCompositionモードでも利用可能で、標準的なV/Octキーボードの各キーで微分音を入力します。
TIP: 12EDOの設定でメロディーを作成した後にオクターブ分割を変更した場合、入力したメロディーは有効ですが、新しいスケールの最初の12音にスケーリングされます。元のメロディーを確認するには、シンプルに元の12EDOに戻します。
Ustaでは、内蔵のスケールに加えてクォンタイズに利用できるカスタム・スケールを作成することができます。各オクターブ分割ごとに4つまでのスケールの作成が可能で、合計で20のオリジナルスケールを作成できます。この操作は、SDカードに書き込む.csvファイルの作成が必要であるため、コンピューター上での実行が必須となります。.csvファイルの作成には、Atomのような柔軟なテキスト・エディタが推奨されており、これは他のテキスト・エディタやワードプロセッサが、テキストのフォーマット指定のような、Ustaが読むことが出来ない不必要なデータをファイルに加える可能性があるためです。.csvファイルは、各カスタム・スケールごとに1行の4行で作成される必要があります。各行は、0と1のみの連続した数字で構成され、セミコロン(;)で区切られている必要があります。数字は半音を表しており、クォンタイズ処理時に有効(1)かバイパスされる(2)かとなります。桁は12音のスケールでは12桁に、15音のスケールであれば15桁、24音のスケールまでとなります。数字とセミコロンの間にスペースを入力したり、最後の数字の後ろにセミコロンは入力しません。下のイメージは、4つのカスタム12音スケールの.csvファイルの作成例で、1つ目のスケールはクロマチック、2つ目はメジャー、3つ目はマイナー、4つ目はクロマチックとなります。
Ustaがファイルを正しく読み取るために、ファイルは4行で完成されている必要があります。もしも作成したいカスタム・スケールが4つに満たない場合は、余った行をすべて1で構成し、クロマチックを指定するなどで対応します。各行の最後にインターバルがない場合は0に置き換えられ、最後の数字の後の値は無視されます。ファイルが完成すれば、以下のように保存します。
正しく保存されたファイルをSDカードのルートにコピーし、Ustaの背面にあるスロットにカードを挿入します。 電源を入れると、Ustaはファイルを自動で読み込み、作成したスケールはTrackメニューの最下部、各オクターブ分割セクションのScale項でUser1, User 2.. のように利用可能になります。SDカード内に.csvファイルが見つからない場合、またはロードされたファイルが読み取りできない場合、4つのユーザースケールはUstaの初期状態であるクロマチック・スケールに置き換えられます。
従来、V/Octトラッキングの基準の0Vは、Cであることを想定しています。V/Oct規格は絶対的ではなく相対的なものであり、その電圧基準は使用するオシレーターの0Vでのチューニング周波数に依存するため、0V=Cが好まれる場合も、Aが好まれる場合もあります。このため、Ustaでは各プロジェクトのProjectメニューから基準音を定義することができます。この設定は視覚的な参照基準にすぎませんが、任意の環境で作成とアレンジメントを進めることができます。設定を変更することで変わるのは、CV AまたはCV BをPitchモードで使用するトラックで、最後に編集したステージと再生中のステージでディスプレイに表示されるノート値のみです。基準音を設定するには、Projectメニューを開いて「0V is」までスクロールし、CまたはAを選択します。
デフォルトでは、Ustaはオクターブを平均律で分割します。つまり、オクターブあたりの音程の数に関係なく、音程間の間隔はスケール全体で均一となります。本機では、カスタムチューニングを作成し、特定のスケールの間隔を微調整することで、例えば3度や5度といった、より「完全な」音律を獲得できます。手順はカスタム・スケールの設定手順のように、オクターブ分割(12, 15, 19, 22, 24 インターバル)ごとに.csvファイルが必要で、カスタム・スケールはメニューのTones Per Oct項のオプションとして利用可能になります。デフォルトではSDカードにファイルはロードされておらず、これらのメニューアイテムは対応するEDO設定のコピーとなります。.csvファイルはカスタム設定ごとに1行の4行で作成される必要があり、各行はEDOからのチューニングオフセットを表す一連の数字がセントで表現されている必要があり、値は-50から+50の間となります。数字はセミコロン(;)で区切られている必要があり、12音のスケールでは12、15音のスケールでは15、最大で24音のスケールまでとなります。数字とセミコロンの間にスペースは使用せず、最後の値の後ろにはセミコロンは入力しません。
TIP: Compositionモードでは、これらはデフォルトのEDOに置き換えられるために確認できません。効果を確認するにはUstaをEditまたはPlaybackモードに設定します。
下の例は、12音のカスタム音律の.csvファイルの1行を示したものです。
この例では、長2度が5セント上がり、長3度が7セント下がり、5度が11セント上がり、6度が2セント下がっています。Ustaが正しくファイルを読み取るために、ファイルは必ず4行で完成されている必要があります。もしも作成したいカスタム音律が4つに満たない場合は、余った行をすべて0で構成するなどで対応します。各行の終わりの数値がない場合は0に置き換えられ、余分な値は無視されます。ファイルが完成すれば、以下のように保存します。
ファイルが正しく保存されたことを確認し、SDカードにコピーします。カードをUstaの背面のスロットに挿入してUstaを起動すると、 ファイルは自動的に読み込まれ、作成したカスタム音律はTrackメニューのTones Per Oct項で12User1, 12User2, 12User3, 12User4, 15User1, 15User2.. のように利用可能になります。
任意のチューニングを定義した後、Ustaによるクォンタイズの計算方法を選択することができます。選択できるオプションは2つで、1つ目は0Vのノート値に基づく絶対的なもの、2つ目は各オクターブ分割で選択したルート音に関連する相対的なものとなります。これは、異なるキーの異なる楽曲に対して、ある特定の音律が必要になる場合があるために用意されています。このオプションを設定するには、Projectメニューに入ってTemperament項までスクロールしてRelativeまたはAbsoluteをデフォルトの動作として選択します。この設定もグローバルなものであり、特定のプロジェクトのみに属するものではありません。
TIP: スケールと音律用に作成した.csvファイルは、グローバルなパラメータです。これは各プロジェクトに保存されるのではなく、毎回読み込まれることを意味します。プロジェクトごとに特定のスケールや音律が必要な場合は、.csvファイルに置き換えないようにします。